2020年8月12日2021年12月23日税務

相続税路線価を分かりやすく解説。土地の相続や贈与で迷わないために基礎を知っておこう

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土地の相続や贈与をすることになったものの、相続税路線価や税額の計算方法についてよく分からないという方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、相続税路線価の考え方や相続税評価額の計算方法をご紹介します。相続税路線価を利用した相続税の計算は複雑になりがちです。記事を読めば、土地の相続や贈与に対して迷いのない判断ができるでしょう。

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土地に関する公的な価格とは?

土地に関する公的な価格は4種類あり、国は公示地価、都道府県は基準地価を評価し、これらをもとに固定資産税評価額や相続税評価額を求めます。ここでは、混同しやすい公的な価格を整理し、それぞれの考え方を把握しましょう。

公示価格

地価公示法により、国が全国の「標準地」について一般的に公表している価格を「公示価格」と呼びます。標準地とは、国土交通省の土地鑑定委員会が選定する都市計画区域内の標準的な土地のことです。2人以上の不動産鑑定士が毎年1月1日時点の地価を鑑定評価し、土地鑑定委員会が1平方メートル当たりの正常価格を毎年3月下旬に公示します。

公示価格は、地方自治体や国税庁が固定資産税や相続税の評価額を決める際の基準です。また、不動産の売買価格にも影響を与えます。

基準地価

公示価格と似た価格に「基準地価」があります。国土利用計画法に基づき、国ではなく都道府県が主体となって「基準地」の鑑定評価を行うものです。基準地は標準地と異なり、都市計画区域内に限定されません。

1人以上の不動産鑑定士が毎年7月1日時点の地価を鑑定評価し、9月下旬に1平方メートル当たりの価格を公表します。標準地と同じ基準地を選定する場合もあり、地域によっては年2回地価が変わるケースもあるようです。

固定資産税評価額

地方税法に基づく「固定資産税評価額」は、土地にかかる税金を決める指標のひとつです。固定資産税だけでなく、都市計画税や不動産取得税などの計算にも用いられます。

固定資産評価基準を使って個別に決められる評価額です。公示価格や実際の売買価格を参考に決まり、公示価格の7割程度が目安となります。

相続税評価額

「相続税評価額」は、相続税の課税標準額を決める指標です。相続税法に基づく相続税評価額は、国税庁の定める「相続税路線価」を基準に算出します。単に「路線価」といえば、相続税路線価を指すのが一般的です。

路線価は路線(面している道路)ごとに決まりますが、土地の形はさまざまなので、条件によって補正を加えて相続税評価額を求めます。相続税評価額は公示価格の8割程度です。

相続税路線価はいつ必要になるか?

相続税路線価は、土地の売買価格や固定資産税ではなく、相続税や贈与税を算出する際に必要な指標です。

相続税や贈与税は、相続税路線価をもとに土地の面積や形状を加味したルールに従って求めます。相続税路線価は毎年変更となる時価ですが、個人の判断を除外することで公平な税額の算出が可能です。

相続税路線価は毎年1月1日を基準日として評価し、7月中に国税庁が「路線価図」として公表します。路線価図の公表まで相続税や贈与税の額は確定しません。申告する年ではなく、相続や贈与を受けた年の路線価図を参考にしましょう。例えば、2020年に相続や贈与があったなら2020年の相続税路線価で税額を求めます。

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路線価図はどこで調べる?

それぞれの路線に対応した路線価が描かれた地図が「路線価図」です。数字は1平方メートル当たりの路線価を、A~Gのアルファベットは借地権割合を表します。ここでは、路線価図の調べ方について見ていきましょう。

国税庁のホームページで調べる

路線価図は毎年国税庁がインターネット上で公表しており、「財産評価基準書」から確認できます。

まずは調べたい土地のある都道府県を選んで「路線価図」を選択し、目的の市区町村の地図を表示しましょう。路線価図は数年さかのぼって閲覧することも可能です。トップページで年度を選択してから同じ操作をすれば、路線価の変化が調べられます。

(参考:財産評価基準書|国税庁)

全国地価マップで調べる

一般財団法人資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」でも路線価が調べられます。国税庁の財産評価基準書で確認できるのは相続税路線価のみですが、全国地価マップでは固定資産税路線価や公示価格も分かる点がメリットです。

ただし、一般公開情報を収集して作ったマップなので、情報の正確性については自己責任で利用しましょう。

(参考:全国地価マップ)

相続税路線価がない土地もある

相続税路線価は、主に市街地といった都市計画区域に設定されています。路線に面した土地でも田畑や山野が多い地域に関しては、相続税路線価がありません。

相続税路線価がある土地は、相続税や贈与税を「路線価方式」で算出できますが、それ以外の土地では「倍率方式」を採用します。倍率方式とは、土地の固定資産税評価額に特定の「評価倍率」をかけて計算する方法で、評価倍率は財産評価基準書の「評価倍率表」で確認が可能です。

相続税路線価を使ってどのように計算するか?

相続税路線価は、路線に面した土地1平方メートル当たりの評価額です。条件次第では相続税路線価に土地の面積をかけるだけで相続税評価額が算出できますが、実際にはさまざまな計算方法を使用します。ここでは、相続税評価額の考え方を理解するために、基礎的な計算方法を見ていきましょう。

路線価方式の計算方法

路線価方式で相続税評価額を求める計算式は以下の通りです。

土地の相続税評価額=相続税路線価(1平方メートル当たりの評価額)×土地の面積

ただし、この計算式で求められるのは、土地が正方形または長方形で路線から見た奥行距離が一定の範囲に収まる場合のみです。土地の形状によってさまざまな補正率をかけて、正しい相続税評価額を計算します。

土地の形状によっては補正が必要になることも

普通住宅地区で補正率を使わずに計算できるのは、土地の形が正方形または長方形で、奥行距離が10メートル以上24メートル未満の場合に限ります。ただし、地区区分が異なると、同じ奥行距離でも補正率が変わることに注意しましょう。

奥行距離によっては「奥行価格補正率」を用いて相続税評価額を減額します。奥行距離が短すぎたり長すぎたりすると利便性が低い土地と判断され、評価額が下がる仕組みです。

一方、交差点で路線に2面が接している「角地」やL字型の路線に面する「準角地」、正面と裏面の2面が路線に面した「二方路線」は、利用価値を高く評価され、評価額自体も高くなります。

土地の利用方法で計算が変わる

土地を「自用地」として使用しているか、または借地権の設定があるかどうかで、評価額の計算方法は異なります。土地の所有者以外に権利者がいない自用地なら、基本である以下の計算式で求めることが可能です。

土地の相続税評価額=相続税路線価×土地の面積×補正率

借地権を持つ方から土地を相続する場合、借地権割合をかけます。借地権割合はA~Gのアルファベットで表され、例えばEなら5割です。

土地を貸した相手が宅地として使用している「貸宅地」の場合、自用地の評価額から借地権相当額を差し引いて求めます。借地権割合がBなら8割なので、8割分を差し引いた金額が評価額です。

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不動産の価値や相続について知りたいときは?

相続税評価額の計算には厳密なルールがあります。正しく計算できれば問題ないですが、過少申告となるリスクが心配な方は実績のある税理士に相談するとよいでしょう。相続や贈与に関して理解を深めるという意味でも、プロに相談したりセミナーに参加したりすることは重要です。

複雑な土地の価値や相続はプロの集団に相談

路線価方式による相続税評価額の計算では、さまざまな補正率を使用します。これまで解説した条件だけでなく、正方形や長方形ではない「不整形地」の場合も補正が必要です。また、地区区分でも計算が変わるなど素人には難しいため、相続税評価額を間違えることなく算出するにはプロに相談しましょう。

誤った計算をして相続税を過少に申告すると、最悪の場合、「過少申告加算税」が課されます。追徴課税のリスクを避けるためにも、プロの力を借りることが重要です。

不動産の相続対策はネイチャーグループへ

相続税の中で大きな割合を占めるのが土地の評価額に課される税金です。相続税を正しく計算することに加え、相続税対策につながるという意味でも、専門の税理士法人に相談することをおすすめします。

相続税評価額は土地の利用方法によって変わるため、資産運用や相続に強い税理士法人の力を借りましょう。ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)は資産運用や承継を専門に扱う税理士法人で、コンサルティングや申告業務の豊富な実績があります。不動産の相続税対策は、ネイチャーグループにご相談ください。

まとめ

土地の相続税評価額を求める場合、特に路線価方式では補正率を用いるため、計算が複雑になります。また、土地は評価額が大きく、相続税対策をしなかったり追徴課税が課されたりした場合の損失が大きくなりがちです。複雑な計算や相続税対策は、資産運用や承継のプロに相談しましょう。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)は資産運用や承継を専門としており、不動産の相続や贈与に関して豊富な実績があります。不動産の相続や贈与をお考えなら、ぜひお気軽にご相談ください。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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