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投資信託でかかる税金とは?課税対象や確定申告の必要性についても解説


投資信託を始めようと思っている方の中には、税金の扱いがどうなるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。利益が出たときに税金はかかるのか、どのタイミングでかかるのか、自分で確定申告の手続きをしなくてはいけないのかなど、税金に関する疑問はたくさんあるでしょう。

そこでこの記事では、投資信託にかかる税金について詳しく解説します。確定申告をしなければいけない場合としなくてよい場合についても、あわせて確認しましょう。複雑と思われがちな税金についてしっかりと理解して、安心して投資信託を始めましょう。







投資信託には2つの種類がある


投資信託には、運用の仕方によって違いのある株式投資信託と公社債投資信託の2種類があります。税金の説明をする前に、まずはこの2つの違いについて知っておきましょう。

ここでは、株式投資信託と公社債投資信託それぞれの特徴と、税金の取り扱いについて詳しく解説します。

株式投資信託と公社債投資信託

株式投資信託とは、信託約款上、株式を組み入れて運用することができるとされているものを指します。ただし、約款上は株式の組み入れ可とされていても、実際の運用は公社債を中心に運用していて株式は組み込んでいないという場合でも、株式投資信託とよばれることもあります。

一方、公社債投資信託は株式を組み込むことはできません。公社債のみで運用する投資信託のことを指します。MRF(マネー・リザーブ・ファンド)やMMF(マネー・マネジメント・ファンド)が代表的なものです。

MRFは安全性の高い公社債などを中心に運用するもので、換金に手数料がかからないため投資資金をスタンバイさせておくための商品としても使われています。
MMFは、買い付けから30日未満に換金すると信託財産留保額がかかってくるので、短期運用には向きません。


税金の取り扱いはほぼ変わらない

投資信託には、分配金や売却益、償還差益などといった利益があります。これらの利益は上場株式の譲渡益と同じ扱いになり、2037年までは20.315%の申告分離課税となります。てきます。内訳は以下の通りです。

所得税:15%
住民税:5%
復興特別所得税:0.315%

以前は株式投資信託、公社債投資信託によって税金の納め方は違っていたのですが、2016年1月から金融所得課税の一本化が図られ、税金の取り扱いはほとんど変わらなくなりました。ただし、若干異なる部分もあるので、約款などで確認することが重要です。


投資信託で税金が発生するタイミング


それでは、分配金や売却益、償還差益にかかる税金は、どのタイミングで発生するのでしょうか。ここでは、それぞれの利益のどの部分に、いつ税金がかかってくるのかを詳しく紹介します。課税対象にならない利益についても押さえておきましょう。


分配金が支払われるとき

投資信託による運用成果が利益となった場合には、投資家に利益の一部が還元されます。これを分配金といいます。

税金がかかってくるのは、この分配金が支払われるタイミングです。分配金には、普通分配金と特別分配金の2種類があります。運用による利益を還元する普通分配金に対し、トク別分配金は、収益分配後の基準価額が個別元本を下回ったときに、元本から収益分配後の基準価額を差し引いた差額(元本払戻金)のことをいいます。
利益である普通分配金には20.315%の課税がなされますが、特別分配金は非課税所得と非課税所得となります。


売却益が出たタイミング

売却益とは、運用期間中に株式や公社債などの運用対象を、販売会社である証券会社などに買い取ってもらうことによって発生する利益のことをいいます。具体的には、売却したときの価格が、購入したときの価格よりも上回ったときの差額が売却益となります。

売却益も、発生したタイミングで税金がかかってきます。売却益は譲渡所得に分類され、分配金と同じく20.315%の税金がかかることになります。

償還されるとき

投資信託は、運用期間があらかじめ決められています。運用期間終了(償還)時の価格が、運用をはじめたときの価格を上回ったとき、その差額のことを償還差益といいます。

税金は運用期間終了(償還)のタイミングで、この償還差益に課税されることになります。売却益と同じく譲渡所得として、20.315%の税金が課税されます。





株式投資信託にかかる税金


ここでは、株式投資信託にかかる税金について詳しく説明します。株式投資信託にかかる税金について考えるときには、大きく利益を2種類に分けましょう。

売却益と償還差益、分配金の2つの場合について課税される税金はいくらなのか、申告課税であるこれらの確定申告の必要性について確認しておきましょう。

売却益や償還されたときの税金

株式投資信託で売却益や償還差益があった場合、上場株式の譲渡益と同じ扱いになります。課税される税額は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%です。1年間に取引をした際に生じた売却益、償還差益などの利益と損失を相殺し、売却手数料などの経費を差し引いた金額に課税されます。

売却益や償還差益は申告分離課税で課せられるので、税務署に申告しなければなりません。ただし、源泉徴収ありの特定口座を使って取引をしている場合は、証券会社が代わりに納税してくれるため自分で確定申告をする必要はありません。

分配金に対する税金

分配金に対する税金についても課税は20.315%となりますが、分配金が支払われる際にすでに源泉徴収がなされているため、改めて確定申告をする必要はありません。ただし、確定申告を行ったほうが得をするケースもあります。

特定口座だけではなく一般口座での取引や、ほかの金融機関での取引がある場合です。これらを通算することにより、利益にかかる課税額を減らすことができます。また、配当所得という分類で確定申告時に総合課税として申告し、配当控除を利用することで、有利となる場合もあります。

公社債投資信託にかかる税金

次に、公社債投資信託にかかる税金について見ていきましょう。公社債投資信託において得られた売却益・償還差益と分配金に課せられる税金の取扱い、確定申告について解説します。

売却益と償還されたときの税金

2016年以前、公社債投資信託における売却益と償還差益は利子所得として扱われ、20.315%の源泉分離課税とされていました。金融所得課税の一本化が行われて以降は、株式投資信託と同様の課税方法が採用されています。

課税額は20.315%で、申告分離課税となるため確定申告が必要です。ただし、株式投資信託と同様に、源泉徴収ありの特定口座での取引をしている場合は申告する必要はありません。源泉徴収なしの特定口座や一般口座で取引をしている場合には、確定申告を忘れずに行いましょう。

また、以前には損益通算は認められていませんでしたが、譲渡損失を出したときには上場株式等の配当金や売却益、償還差益など他の利益や、損益との損益通算をおこなうことが認められるようになりました。

分配金に対する税金

公社債投資信託の分配金に対する税金に関しても、利子所得としての源泉分離課税から申告分離課税が適用され、確定申告をすることができるようになりました。

ただし、株式投資信託の分配金は総合課税として申告し配当控除の適用を受けることができますが、公社債投資信託の場合は利子所得とみなされるため、配当控除の適用を受けることはできません。



確定申告したほうがよい場合

原則、源泉徴収ありの特定口座での取引であれば自ら確定申告をしなくてもよいのですが、確定申告をしたほうがお得な場合があります。複数の口座をもっている場合、大きな損失が出た場合、配当控除を受ける場合には、手間はかかりますが確定申告をしたほうがお得です。詳しく見ていきましょう。

口座がいくつかある場合

すべて同じ証券会社、同じ特定口座で投資信託を行っている場合には確定申告は必要ありません。しかし、同じ証券会社内でも一般口座での取引もしている場合や、複数の証券会社で取引がある場合などには確定申告をしたほうがお得な場合があります。損益通算ができるためです。

損益通算とは、損益と利益を相殺することです。ひとつの特定口座では利益がたくさん出ていて、一般口座や他の証券会社での取引では損益が大きいという場合があります。そのような場合に全ての損益と利益を相殺すれば、税金の対象となる利益額が変わり税金の額を減らすことができます。

ただし、NISA口座での取引は損益通算の対象とはならないので注意しましょう。

損失が多い場合

損益通算が認められているということは、損失が多い場合には確定申告をしたほうがお得だということになります。しかし損益通算をして、利益より損失が大きく上回ってしまい赤字になるということもあるでしょう。

その場合、損益通算しきれなかった赤字部分については繰越控除が認められています。繰越控除とは、損益通算してマイナスになってしまった場合、マイナス部分を翌年以降の確定申告の際に繰り越して、課税対象となる売却益から差し引いてもよいというものです。

ただし、翌年以降3年間は継続して確定申告をしなくてはいけません。損益通算をしない年であっても、確定申告をする必要があることを理解しておきましょう。

配当控除を受ける場合

分配金や配当金は配当された時点で源泉徴収がなされているため確定申告をする必要はありませんが、確定申告をすることにより配当控除を受けられることがあります。

配当控除とは、確定申告の際に総合課税を選択することで、配当金に一定率をかけた金額が所得税、住民税から控除されるというものです。配当控除が適用となる総合課税には、累進税率を適用します。そのため所得が高いと税率も高くなるので注意が必要です。

課税所得金額330万円ほどをボーダーラインに考え、それ以上所得があるのであれば、源泉徴収の15%で納税したほうがよいでしょう。

住民税については、所得が高くても低くても配当控除は受けないほうがよいでしょう。総合課税の税率7.2%が、源泉徴収税率5%を上回ってしまうからです。住民税を総合課税で確定申告してしまうと住民税が高くなり、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料の負担までも増えてしまうことになります。

所得税と住民税で異なる課税方法を選ぶこともできるため、自分の所得に合わせて納税の方法を考えましょう。

(参考:『No.2260所得税の税率|国税庁』

確定申告しなくてもよい場合

源泉徴収なしの特定口座や一般口座で取引をしている方は原則確定申告が必要ですが、投資信託で得た利益が20万円以下の場合、確定申告は不要です。

ただしこの場合でも、源泉徴収ありの特定口座で取引をしている方は、利益の大小に関わらず税金が引かれてしまいます。税制上は納税の義務がないにも関わらず、自動的に税金が徴収されるということも覚えておきましょう。

まとめ

株式投資信託と公社債投資信託の特徴やかかってくる税金、納税方法は一見複雑ですが、スムーズな資産運用のためにも理解しておくことが大切です。初心者であれば源泉徴収ありの特定口座を選んでおけば安心でしょう。節税につながる確定申告についても、ぜひ活用してみましょう。

税金に関する手続きは知識として理解していても、いざ実践するとなると不安があるものです。そのようなときには、専門家に相談することがおすすめです。

税理士法人ネイチャー国際資産税では、投資信託をはじめとした資産運用のご提案から煩雑な税金に関するご相談まで、あなたの大切な資産についての疑問を受け付けています。業界に精通したプロフェッショナルが的確なアドバイスとサポートをいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。







芦田 敏之
【監修者プロフィール】 税理士法人 ネイチャー国際資産税代表 国内外の資産税に精通しており、富裕層の資産対策を中心にワールドワイドかつ多数のコンサルティング実績を持ち、世界全体で約100の金融機関の間に人脈があります。資産規模100億円超えのクライアントに数多く対応してきたことから「日本一富裕層を知る税理士」というキャッチコピーで話題に。近年は働きやすい職場環境の普及活動にも意欲を見せており、これまでテレビ番組や日本経済新聞、Forbes JAPANなどさまざまなメディアにも登場しています。
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