2017年9月15日相続・事業承継
事業承継について(第2回)

経営者の方が築き上げた又は代々引き継いで拡大された事業を、次世代へ承継するため(円滑に事業承継を進めるため)には、早期に、かつ、計画的に事業承継について取り組む必要があります。
そのためには、事業承継への準備の必要性を経営者の方自身に改めて認識頂き、自社の経営状況等を把握頂いたうえで、次の2つの要素についての検討が必要となります。
- 後継者の決定(親族内、親族外)
- 資産の承継(承継方法の検討など)
以下、それぞれについて概要を説明させて頂きます。
後継者の決定(親族内、親族外)
まず、後継者の決定についてですが、大きく分けて「親族内承継」と「親族外承継」の2つに区分されます。
親族内に後継者がいる場合は、経営に必要な知識の習得、取引先や従業員、金融機関等に対しての周知・人脈の引き継ぎなどを計画的に行う必要があります。
また親族内に後継者がいない場合には、会社役員・従業員など社内で後継者を検討する方法、社内に適任者がいない場合はIPOを目指す、M&Aによる第三者への売却等といった方法の検討が必要となります。
資産の承継(承継方法の検討など)
次に資産の承継ですが、事業を継続するために必要な資産(自社株式、個人所有の事業用不動産など)について、承継方法、承継時期などを検討する必要があります。
承継方法については、譲渡、生前贈与、相続による承継などが考えられます。
承継する資産の内容によっては、多額の税負担が発生する可能性がありますので、そちらについても手当する必要があります。
特に相続税については、課税強化の方向に向かっていますので、資産の評価額の引き下げ対策の立案、計画的な生前贈与の活用により、税負担を出来る限り抑えるなどの対策も必要です。
また経営者の所有する資産の大部分が事業に関連する資産で、後継者(親族内承継の場合)以外に相続人がいる場合には、生前に遺産分割方法についても検討する必要があります。
上記のように、事業承継の検討、実行には、税務、法務面など高度な専門性が必要となってまいりますので、知識・経験・ネットワークが豊富にある専門家のアドバイスを仰ぐとよいのではないでしょうか。

芦田 敏之
【監修者プロフィール】 税理士法人 ネイチャー国際資産税代表 国内外の資産税に精通しており、富裕層の資産対策を中心にワールドワイドかつ多数のコンサルティング実績を持ち、世界全体で約100の金融機関の間に人脈があります。資産規模100億円超えのクライアントに数多く対応してきたことから「日本一富裕層を知る税理士」というキャッチコピーで話題に。近年は働きやすい職場環境の普及活動にも意欲を見せており、これまでテレビ番組や日本経済新聞、Forbes JAPANなどさまざまなメディアにも登場しています。