2021年5月26日2022年6月13日その他相続・事業承継

遺言信託を分かりやすく 特徴は?メリットや注意点を徹底解説

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生前に「遺言信託」を利用すると、遺言書の作成から執行までさまざまな面でメリットを受けられます。遺産相続をスムーズに済ませるためにも役立つ方法ですが、詳しいサービス内容や仕組みを知らない方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、遺言信託に関する基礎知識やメリットなどについて詳しく解説します。注意点も押さえた上で全体の理解を深めましょう。後半では、サービス利用の相談から開始までの流れも紹介します。

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遺言信託の特徴やサービス内容

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「遺言信託」とは、遺言の作成や執行をサポートするために信託銀行などの金融機関が展開しているサービスです。信託法で定められた行為にも同じ言葉があるため、以下の表を参考に違いを理解しておきましょう。

金融機関の「遺言信託サービス」 信託銀行などが遺言執行者となり、遺言書の作成や保管・執行をサポートする
法的な意味での「遺言信託」 信託行為を遺言でする

遺言信託サービスを利用すると、遺言の内容にのっとった執行を任せられます。自分が亡くなった後の相続手続きが不安な方にとって、精神的な安心感が得られるサービスともいえるでしょう。なお、この記事では法的な意味ではなく、サービスとしての遺言信託に関する情報をピックアップします。

遺言代用信託との違いは?

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遺言信託と混同しやすい言葉のひとつが「遺言代用信託」です。混同したままでいると、全く異なるサービスを依頼することになるので注意が必要です。遺言代用信託のメリットにも触れながら、2種類の相違点について詳しく解説します。

遺言代用信託は財産を円滑に引き継ぐためのもの

金融機関が預金者の死亡を確認すると、通常、所定の手続きを終えるまでの一定期間、口座から預貯金を引き出せません。遺言代用信託はこのことを解消できる特徴があります。概要は以下の通りです。

・生前:金銭を信託し金融機関が運用
・相続発生時:指定していた人物(推定相続人)が金銭を受け取る

例えば「亡くなった後に配偶者の口座へ500万円を振り込む」といった指定ができます。遺言代用信託を利用することで、スムーズな財産(金銭)の引き継ぎが可能です。また、負担に感じやすい葬儀費用をまかなうためにも、メリットを感じられる仕組みといえるでしょう。

遺言信託と遺言代用信託の共通点と違い

根本的な仕組みや業務内容が異なるサービスですが、共通する部分もあります。言葉のみでは混同しやすいため、以下の表を参考にサービス内容と受取人の指定範囲なども把握しておきましょう。

  遺言信託 遺言代用信託
手続きする機関 信託銀行などの金融機関(共通)
サービス内容 ・遺言書の作成や保管に関わるサポート
・相続発生時、遺言の内容に従って財産を配分
・依頼者は金融機関が遺言執行者になることに合意し、遺言書に指定する
・生前:財産の一部(金銭)を管理・運用する
・相続発生時:速やかに相続人へ資金を交付する
受取人 ・配偶者や子などの相続人
・相続人以外の第三者
・依頼者が希望する機関への寄付なども可能
・配偶者や子どもなど、推定相続人から指定
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遺言信託を利用する4つのメリット

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形式不備の遺言書は無効になる可能性があります。遺言信託は、遺言書を作成する段階でアドバイスを受けられるため、無効のリスクを軽減できることがメリットといえます。また、亡くなった後にスムーズに相続手続きを進める方法としても役立つでしょう。依頼者にとって魅力的な要素を4つピックアップし、サービスの特性にも触れながら解説します。

遺言書作成の負担を軽減できる

遺言信託を利用した場合「公正証書遺言」を作成するのが一般的です。公証役場で公証人が遺言内容を適切に反映します。公証人がチェックするため、基本的に形式不備で遺言書が無効になる恐れがないことがメリットです。

遺言書の作成には、保有財産の整理や分割方法の検討といった準備も必要となります。遺言信託でサポートを受けると、環境に応じて準備段階から手続きまでその都度アドバイスを受けられるのが大きなメリットといえるでしょう。

任せられる安心感がある

遺言信託では、通常、金融機関を遺言執行者に指定します。遺言執行者は、いくつかの例外を除き幅広い選択肢から指定が可能です。税理士や司法書士といった専門家を指定するケースも多く見られます。遺言執行者が個人の場合、相続が発生した時点で遺言執行者がすでに死亡していて円滑な執行が困難になるケースもあるので注意が必要です。。
法人である金融機関を指定すれば、執行者がいなくなることは考えにくいため、個人を指定していた場合に起こり得るリスクを軽減できるでしょう。

アドバイスを受けられる

専門的な観点からアドバイスを求められる点は、サービスを利用する大きなメリットです。具体的には、以下のような相談内容が挙げられます。

・保有財産の内容を整理したい
・遺産分割の方法
・推定相続人の確定
・未成年者の相続人の財産管理に関する相談
・保有財産の運用方法

資産を有効活用するための対策も相談できるため、「将来的に資産拡大を目指したい」と考える方にとっても、有益なサービスといえるでしょう。

遺言書の変更手続きのサポートも可能

必ずしも遺言信託サービスの利用開始直後に相続が発生するわけではありません。遺言書の作成から亡くなるまでの間に内容を変更する必要性が生じることもあるでしょう。遺言信託は変更の依頼も可能です。金融機関の多くは、以下の内容を定期的に確認します。

・保有資産の変化
・相続人の増減(出産や死亡など)
・遺言者が希望する相続内容の変更

遺言書を変更するには所定の手続きが必要ですが、手続きに手間がかかる、不備があれば無効になるので注意が必要です。しかし、遺言信託であればサポートを受けられるので安心です。相続が発生する直前まで、遺言者の希望を反映した手厚いサポートが受けられるでしょう。

遺言信託を利用する際の3つの注意点

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魅力的な要素が多い遺言信託ですが、検討する際は注意点の把握も大切です。コスト面やサービス内容に制限があるなどのデメリットもあるため、規定を理解した上で要否を判断しましょう。あらかじめ押さえておきたいポイントを3つ解説します。

遺言信託の利用には費用がかかる

遺言信託は、信託銀行などの金融機関と契約して遺言書の作成や保管業務を依頼するサービスです。相続発生まで複数の作業を一任するため、継続的に費用が発生します。コストの基本的な内訳を把握しておきましょう。

・契約時の手数料
・遺言書の保管料
・遺言書の内容を変更する際の変更手数料
・中途解約時の清算費
・遺言執行時の執行報酬(財産総額により変動)
・弁護士や税理士への報酬(依頼したとき)

上記のうち、コストの大部分を占めるのが「執行報酬」です。財産の総額が高いほど執行報酬は上がり、コストも増す傾向にあります。

財産以外のものには対応できない

遺言信託において金融機関が請け負えるのは、財産関係の遺言執行のみです。以下の例のように、相続人の身分に関係する内容には対応できないと認識しておきましょう。

・非嫡出子の認知手続きを任せたい
・未成年者後見人を指定したい
・相続人の廃除について、申立書を提出したい

業務内容の範囲は法律で定められており、何でも対応しているわけではないので注意しましょう。。

相続トラブルの仲介はできない

相続に関してトラブルが発生した場合、金融機関は問題に介入できません。相続関係のトラブル解決は弁護士が請け負う業務であり、対応範囲外に定められているためです。(※日本弁護士連合会・信託協会間の規定)以下の状況が認められた場合、金融機関は遺言執行者を辞退することがあります。

・相続トラブルに発展するリスクが高い
・相続発生後、相続人の間で問題が発生した
・法律的な紛争が生じている

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遺言信託の利用に向いている方とは

遺言信託サービスのコストは高額なケースが多いため、資金にゆとりがある方に利用が向いているといえます。相続について家族の同意を得ている場合や、安心感を求める方にも適した方法です。

・保有財産の規模が大きい方
・金融資産の預け入れ先を複数の機関に分散している方
・相続人間でトラブルに発展する可能性が低い方
・亡くなった後の財産処分について、安心できる機関へ任せたい方

相続発生前の解約にも手数料が発生するため、資金面は特に重要な判断基準といえるでしょう。

遺言信託サービスを利用する流れ

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実際にサービスを利用するためには、金融機関への相談をはじめ、さまざまな段階を踏む必要があります。利用を検討するに当たって、具体的な流れも把握しておくと安心です。ここからは、遺言信託サービス利用開始から執行までの流れを7つのステップに分けて詳しく解説します。

1.金融機関への相談

まずは依頼したい金融機関(信託銀行・信用金庫など)を決定し、サービス利用希望の旨を伝えましょう。利用料金など細かい説明を受けた後、遺言書作成の準備に進むのが一般的です。

その際、財産状況や家族構成など、状況に応じて遺言書に反映する内容のアドバイスを受けられます。相談内容によっては提携の専門家が加わるかもしれません。弁護士や税理士といった専門家のアドバイスも取り入れながら、遺言書の原案を作成しましょう。

2.遺言書の作成

遺言書の原案に問題がなければ、正式な作成手続きへ進みます。必要書類をそろえ、公証役場で遺言書作成を申請しましょう。証人2人の立ち合いが必要となるため、あらかじめ決めておくことも大切です。場合によっては金融機関の担当者が証人を務めることもあります。

公証人に「遺言執行人に金融機関を指定する」という希望を伝え、遺言書に反映してもらう流れです。基本的には原案を基準に作成するため、極端な変更がなければ問題なく作成できるでしょう。作成された原本は公証役場、正本は金融機関が保管します。

3.遺言者による遺言信託の申し込み

遺言書が作成された段階で、金融機関との正式な契約が可能です。必要な提出書類をそろえ、契約手続きに進みましょう。以下は必要書類の一例です。

・遺言書の正本(金融機関が保管)
・戸籍謄本
・相続財産の明細書
・財産に関する資料(預貯金や有価証券など)
・印鑑登録証明書
・不動産登記事項証明書(不動産の財産がある場合)

金融機関や財産の内容によっては、提出する書類も異なる可能性があります。契約締結前に通知されるため、期限なども確認しながら準備しましょう。

4.死亡通知人による金融機関への連絡

依頼者(遺言者)が亡くなった後、金融機関へ死亡を報告しなくえはなりません。連絡は死亡通知人が行います。死亡通知人は、遺言信託の申し込み時にあらかじめ指定していた人物が務めます。

死亡通知を確認した後、金融機関が執行業務をスタートする流れです。遺言書の内容を相続人全体が把握できるよう、正本を披露します。死亡通知が遅れると他の業務開始も遅くなるため、なるべく早い段階での報告が重要です。

5.金融機関による遺産調査と財産目録の作成

相続人全員が遺言書の内容を把握した後、金融機関は亡くなった時点での遺産や債務状況を細かく調べ、遺言書の内容通りに執行するための準備をします。このとき、相続人の協力も必要となる点を理解しておきましょう。

調査で明らかになった遺産の内容は財産目録に記録します。担当者から書類提出を求められた場合は、可能な限り早期に対応できるように備えましょう。

6.相続人による申告や納付手続き

被相続人から遺産を引き継ぐと、遺産の内容や金額に応じて税金が課されます。相続税・所得税には控除や特例など複数のルールがあるため、適切な金額を把握した上で申告と納付手続きに進みましょう。

税金の取り扱いや手続き、納税資金など不明点がある場合は税理士に依頼も可能です。専門的な観点からのアドバイスを受ける、申告業務の代理を依頼することで、スムーズな手続きにつながるでしょう。

7.遺産分割や名義変更の実施

納税手続きを終えると、金融機関は遺産分割を実行します。預貯金の分割だけでなく、有価証券を換金したり不動産の名義を変更したりといった手続きも必要です。遺産の種類が多いほど作業量も増えるため、状況に応じて対応しましょう。

遺言書の内容通りに遺産の分配が完了した段階で、金融機関が請け負う執行業務は終了です。相続人は金融機関が作成した遺言執行に関する報告書を受け取ります。

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まとめ

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遺言信託を活用することで、遺言書作成や一連の手続きの負担を減らしつつ、スムーズな相続を実現できるでしょう。魅力的なサービスですが、費用面や業務の制限に関するデメリットへの理解も重要です。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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