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コラム

2021年6月16日2021年7月19日

相続放棄とは何?手続き・申告方法・注意点を総まとめ

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相続財産の内容や相続人間の関係性に問題がある場合、「相続放棄」をすることで解決に向かうケースがあります。しかし、専門的な知識や経験がなく判断に悩むこともあるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、相続放棄の概要から具体的な申告方法まで徹底的に解説します。注意点を押さえれば、リスクを避けながら相続放棄ができるでしょう。後半では、相続放棄者がいるときの相続税の計算をパターンに分けて紹介します。

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【基礎知識】相続放棄とは何か

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相続放棄の必要性を見極める前に、基礎的な知識を蓄えることが大切です。「限定承認」や「財産放棄」といった相続に深く関わる言葉と混同しないよう、相違点も併せて確認しましょう。まずは、相続放棄の基本的な概要や仕組み、用語について解説します。

相続放棄は相続権を放棄すること

「相続放棄」とは、亡くなった方(被相続人)の財産に対する相続権を相続人が自ら放棄する行為や手続きを指します。法的な手続きで、対象は被相続人の財産全てです。債務だけでなく、プラスの財産も含まれるので注意しましょう。主な財産は以下の通りです。

プラスの財産 金融資産 ・現金や預貯金
・国債や投資信託などの有価証券
不動産 ・賃貸を含む家屋
・宅地や借地権
・農地や山林
その他 ・ゴルフ会員権やリゾート会員権
・骨董品や貴金属
・債券
・著作権や商標権
マイナスの財産 債務 ・住宅ローンなど、金融機関からの借入残高
・入院費や医療費の未払い分
・未払いの税金

相続放棄をすると、相続権は法定相続人の範囲である兄弟姉妹まで移動します。兄弟姉妹が亡くなっていれば代襲相続により兄弟姉妹の子まで移動しますが、兄弟姉妹が相続放棄した場合、その子に相続権は移りません。

限定承認との違い

相続財産を責任の限度として相続するのが「限定承認」です。例えば、相続財産と負債のどちらが多いか分からないような場合に限定承認を選択します。手続き後に負債が相続財産を上回っていることが発覚しても、上回った負債を負担する必要はありません。。全てを放棄する遺産放棄に対し、相続財産が負債を上回っていれば残りの財産を相続できるという違いがあります。限定承認の要件は以下の通りです。

・相続開始を知ってから3か月以内に申述
・申述の際は「家事審判申立書・相続の限定承認」を家庭裁判所に提出する
・相続人全員が共同で申述する(全員の同意が必要)

相続放棄は各相続人が単独でできます。一方、限定承認は共同で申述する必要があるので、相続人の中に反対する方がいると難しいでしょう。申立てが問題なく完了した後は、限定承認者による清算手続きが必要です。

財産放棄(遺産放棄)との違い

相続人が相続を拒否したとき、相続人間の話し合いによって「財産放棄(遺産放棄)」として扱うケースもあります。日常的に耳にする言葉かもしれませんが、法律用語ではありません。

したがって、法律上、相続権を放棄したことにはならないのが相続放棄との大きな違いといえるでしょう。例えば、財産放棄では債務を免れたことにはならず、全てを放棄するには法的な手続き(相続放棄)が必要です。

【相続放棄手続き】検討したほうがよいケース|しないほうがよいケース

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相続財産の内容や相続人の考え方によって、適切な選択肢は異なります。むやみに相続放棄を決断すると、金銭的に不利な状況へつながるかもしれません。手続き後にトラブルにならないためにも、相続放棄に向いているケースと向いていないケースを把握しておくと安心です。ここでは、それぞれのケースについて詳しく解説します。

相続放棄が適しているケース

相続放棄が適しているのは、相続する財産より明らかに負債が多い場合です。他にも、以下のようなケースでメリットを感じられるでしょう。

・相続問題に巻き込まれたくない
・特定の相続人へ全ての財産を相続させたい

特定の相続人に財産を相続させるには、遺産分割協議書を作成する方法がありますが、相続放棄のほうが時間はかかりません。ひとつの選択肢として検討するとよいでしょう。

相続放棄には適さないケース

被相続人の財産と負債のバランスが分からない場合、相続放棄は慎重に考えたほうがよいでしょう。中には、相続放棄ではなく限定承認が適している場合があります。具体的なケースは以下の通りです。

・財産がプラスかマイナスか判断できない
・プラスの財産は確定しているが、マイナスの財産が漠然としている

限定承継は手続きに手間がかかりますが、負担にならない範囲で引き継げるというメリットがあります。相続トラブルのような問題がないなら検討する価値はあるでしょう。

【相続放棄手続き】4つの流れ

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相続放棄の具体的な手続きと流れについてチェックしましょう。提出する書類が複数あり、不備があると認められないケースもあるため、事前にしっかりと準備することが大切です。ここでは、書類の準備から手続き完了まで、4つのステップに分けて解説します。

1.相続放棄のための必要書類の準備

相続放棄に必要な書類は以下の通りです。ただし、一部の書類は被相続人との関係性によって異なります。

申請書類 ・相続放棄の申述書
・標準的な申立て添付書類
共通の書類 ・被相続人の住民票除票または戸籍附票
・申述人(放棄する方)の戸籍謄本
被相続人の配偶者が申述人の場合 ・被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本
被相続人の子または代襲者(孫、ひ孫)が申述人の場合 ・被相続人の死亡が記載されている戸籍謄本
・申述人が代襲相続人の場合、被代襲者の死亡が記載されている戸籍謄本
被相続人の直系尊属(父母や祖父母)が申述人の場合 ・被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍謄本
・被相続人の子が死亡している場合、出生から死亡まで全ての戸籍謄本
・被相続人の直系尊属に死亡している方がいる場合、死亡の記載がある戸籍謄本

書類の準備と同時に、提出する家庭裁判所も確認しましょう。被相続人が亡くなる前、最後に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所です。

2.相続放棄申述書の作成と提出

相続放棄申述書に必要事項を記入し、捺印します。相続放棄申述書のフォーマットは家庭裁判所の公式サイトなどからダウンロードして入手しましょう。記入する項目は以下の通りです。

・家庭裁判所の名前
・申述書の作成年月日
・申述人に関する個人情報(住所や被相続人との関係性など)
・法定代理人に関する情報(必要であれば)
・被相続人に関する情報(本籍地や死亡年月日など)
・申述の理由
・相続財産の概略(負債を含む財産の内容)

相続放棄申述書と必要書類は家庭裁判所に提出します。提出方法は、直接出向く方法と郵便で送付する方法の2つです。内容に漏れやミスがあると受理されないケースもあるため、入念にチェックしましょう。

3.照会書へ回答する

家庭裁判所は相続放棄申述書の内容を確認した後、相続人に対して「相続放棄の照会書」を送付します。相続放棄の有効性を判断するための書類で、主な内容は以下の通りです。

・被相続人の死亡を知った時期
・相続放棄申述受理の申立て方法
・相続放棄をする具体的な理由
・遺産の処分や消費などの有無

全ての項目に対して正確に回答し、署名と捺印をしてから家庭裁判所に返送します。原則、申立人本人が回答しますが、分からないときは専門家にアドバイスをもらうとよいでしょう。

4.相続放棄申述受理通知書を受け取る

申述書や照会書が受理されると、「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。手続きが完了したことを通知する書類で、相続放棄が認められたと判断してよいでしょう。通知書は再発行できないため、紛失しないよう注意が必要です。

万が一、紛失したときは、「相続放棄申述受理証明書」を発行してもらえます。証明書は通知書と異なり、申請すれば何度でも発行できるので、原本の提出が可能です。債権者に提出を求められた際は証明書を利用するとよいでしょう。

通知書や証明書は、相続放棄を第三者に証明できる重要な書類です。例えば、債権者に提出することで相続放棄を証明できます。

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【相続放棄手続き】期限やかかる費用

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相続放棄の手続きには、期限が設けられています。相続人間の話し合いが長期化すると、期限日に間に合わない恐れがあるので注意が必要です。また、かかる費用を把握すれば、準備の段階で備えられるでしょう。ここでは、相続放棄手続きの期限や費用について解説します。

相続放棄の申立てができる期限

相続放棄の申立てができるのは、自分が法定相続人であることを知ってから3か月以内です。ただし、利害関係人や検察官の請求によって伸長できるケースもあります。

条件(原則) 相続人が、相続を認識してから3か月以内
例外 利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所で伸長が可能
伸長の例 財産の内容が多岐にわたり、承認・放棄を期限までに判断できない

伸長を希望する場合、家庭裁判所に対して「相続放棄のための申述期間伸長の申立て」をする必要があります。家庭裁判所の公式サイトなどからダウンロードし、必要事項を記入した上で手続きしましょう。

相続放棄手続きにかかる費用

相続放棄の手続きに膨大な費用はかかりません。費用の内訳と金額は以下の通りです。

項目 金額(目安)
収入印紙 申述人1人当たり800円
戸籍謄本 1通 450~750円
被相続人の住民票除票または戸籍附票 1通300円程度(市町村によって異なる)
連絡用の郵便切手 家庭裁判所によって異なる
交通費(直接出向く場合) 居住地によって異なる
切手(郵送の場合) 郵送方法によって異なる

手数料として家庭裁判所に支払うのは収入印紙の800円のみですが、必要書類の取得や提出に関する費用がかかります。被相続人との関係性で必要な戸籍謄本の数が変わるため、自分の状況を踏まえた上で計算するとよいでしょう。

【相続放棄の手続き】押さえておきたい注意点

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相続人自身が放棄を希望していても、なんらかの理由で認められないケースがあります。不本意な結果にならないよう、注意点を押さえておきましょう。申立ての時期や提出書類の確認も重要なポイントです。ここでは、相続放棄の手続きに関する4つの注意点を紹介します。

相続放棄が認められないケースがある

相続放棄の受理は、相続財産に手を付けていないことが前提です。一部でも処分すると、単純承認と同様の扱いになります。相続放棄が認められないケースとして考えられる具体的な事例は以下の通りです。

・預貯金を払い戻したり解約したりした
・不動産の名義を変更した
・携帯電話の名義変更や解約の手続きを済ませた
・遺産分割協議で分割に合意した
・申立てに必要な書類が不足している
・3か月の熟慮期間を超えている

単純承認事由により相続放棄の申述が却下されたときは即時抗告をしましょう。2週間以内であれば、高等裁判所に審理を依頼できます。

相続開始前の相続放棄は不可能

相続放棄は相続開始後に家庭裁判所に申述することで成立します。たとえ被相続人の生前に親族に意思表示しても、相続開始前に相続放棄はできません。脅迫や恐喝による望まない相続放棄を防ぐためです。

話し合いの機会があれば、他の相続人と「相続しない」という意思を共有できます。ただし、自分の共有持分を放棄する「譲渡」の扱いで、相続放棄としては扱われません。

相続財産管理人が決まるまでは財産管理の継続が必要

相続人全員が相続放棄して相続人が誰もいなくなった場合、「相続財産管理人」の選任が必要です。相続財産管理人は、被相続人の財産や負債を処分します。相続放棄をすれば財産に関する権利や義務は放棄できますが、民法の規定により、次の相続人(相続財産管理人)が管理を開始できるまで財産の管理を継続しなければなりません。

相続財産管理人は、家庭裁判所が弁護士といった専門家を選任します。「相続財産管理人選任の申立て」の手続きをするのは、債権者のような利害関係者です。また、相続財産管理人に支払う報酬が必要な点も認識しておきましょう。

受取人が被相続人の生命保険金は相続放棄対象

相続放棄における生命保険金の取り扱いは、契約内容によって異なります。受取人が相続人の場合、保険金は個人の財産となるため、相続放棄しても受け取りが可能です。一方、受取人が被相続人の場合、保険金は相続財産となり放棄する対象に含まれます。受取人の名義により、保険金を受け取る権利も放棄する場合があることに注意しましょう。

【相続放棄者がいる場合】相続税のルールと計算

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相続人それぞれの相続税額は、相続放棄者の有無によって変動します。ただし、法定相続人の数は放棄した方がいても変わりません。相続放棄した方と被相続人の関係性も踏まえた上で、さまざまなパターンの計算例をチェックしましょう。

相続放棄をした本人の相続税の納税義務

相続放棄をすると、被相続人から相続する財産がゼロになるため、相続税もかかりません。他の相続人に申告義務があっても、放棄した方は不要です。

ただし、生命保険金や死亡退職金といった「みなし相続財産」を受け取った場合、基礎控除額を超えると課税対象となります。非課税枠の適用も受けられません。

基礎控除額 死亡保険金 保険金-500万円×法定相続人数
死亡退職金 退職金-500万円×法定相続人数

 

相続放棄をしなかった場合の相続税額

法定相続人の中に相続放棄をする方がいなかった場合、それぞれの相続税額は以下の通りです。

条件 ・相続財産総額:8,000万円
・法定相続人:配偶者と子供2人
基礎控除額 3,000万円+600万円×3人=4,800万円
課税遺産総額 8,000万円-4,800万円=3,200万円
配偶者の取得金額 3,200万円×1/2(法定相続分)=1,600万円
子供1人の取得金額 3,200万円×1/4(法定相続分)=800万円
配偶者の算出税額 1,600万円×15%(税率)-50万円(控除額)=190万円
子供1人の算出税額 800万円×10%(税率)=80万円
相続税の総額 190万円+80万円+80万円=350万円
配偶者の相続税額 350万円×1,600万円÷3,200万円=175万円
子供1人の相続税額 350万円×800万円÷3,200万円=87万5,000円

子供1人が相続放棄をした場合の相続税額

相続放棄した方がいても、基礎控除額やそれぞれの算出税額は法定相続人が全員相続したとして計算します。つまり、相続放棄の有無にかかわらず、相続税の総額は同じです。法定相続人である子供1人が相続放棄した場合、放棄した方の相続税を、配偶者と子供1人の法定相続分である1/2ずつ按分します。

条件 ・相続財産総額:8,000万円
・法定相続人:配偶者と子供2人
・相続放棄者:子供1人(他の相続人はいないものとする)
相続税の総額 350万円
配偶者の相続税額
(相続放棄がない場合)
175万円
子供1人の相続税額
(相続放棄がない場合)
87万5,000円
相続放棄した子供1人の相続税を按分した額 87万5,000円×1/2=43万7,500円
配偶者の相続税額 175万円+43万7,500円=218万7,500円
子供1人の相続税額 87万5,000円+43万7,500円=131万2,500円

子供2人が相続放棄をした場合の相続税額

2人の子供がいずれも相続放棄をした場合、2人が相続する予定だった財産を相続するのは配偶者です。残された財産を全て1人で引き継ぐことになり、法定相続人は配偶者だけになるので、相続税も全て負担します。

条件 ・相続財産総額:8,000万円
・法定相続人:配偶者と子供2人
・相続放棄者:子供2人(他の相続人はいないものとする)
相続税の総額 350万円
配偶者の相続税額 350万円

配偶者が相続放棄をした場合の相続税額

配偶者が相続放棄をして子供2人のみで相続する場合、法定相続分はそれぞれ1/2です。相続する財産の額が増えますが、その分、配偶者が納める予定だった相続税も1/2ずつ負担します。

条件 ・相続財産総額:8,000万円
・法定相続人:配偶者と子供2人
・相続放棄者:配偶者(他の相続人はいないものとする)
相続税の総額 350万円
配偶者の相続税額
(相続放棄がない場合)
175万円
子供1人の相続税額
(相続放棄がない場合)
87万5,000円
相続放棄した配偶者の相続税を按分した額 175万円×1/2=87万5,000円
子供1人の相続税額 87万5,000円+87万5,000円=175万円

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まとめ

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相続放棄を認めてもらうには、書類をそろえたり照会書の回答を書いたりといった手続きが必要です。相続財産の内容によっては相続放棄が適さない場合もあるため、悩んでいる方は専門家に相談したほうがよいでしょう。

税金対策の面からアプローチできると、より有益な結果を得やすくなります。現在相続や相続放棄について悩み、不安を感じている方は、ぜひこの機会にネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー・株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)までお問い合わせください。

芦田 敏之

芦田 敏之

【監修者プロフィール】資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「日本一富裕層に詳しい税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を生かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中。(MBA取得予定)
また、Mastercard®最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。

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