2021年11月2日2021年11月19日

生前贈与の非課税枠はいくら?利用できる制度や対策をどこよりも分かりやすく

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生前贈与とは、存命中に次の世代へ財産を移しながら相続財産を減らす方法です。ただし、一定の額を超えて贈与を受けた場合には、贈与税を納める義務が発生します。贈与税とは、1年間に受けた贈与に対してかかる税金です。中には「贈与税を減らす贈与方法が知りたい」「贈与税を軽減したい」と考えている方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では贈与税の控除や、利用できる非課税制度について詳しく解説します。以下で紹介する方法を実践することで、生前贈与の税金対策が講じられるでしょう。

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生前贈与による2種類の控除

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一定の額を超えた生前贈与には贈与税がかかります。贈与税の課税方式は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類です。

贈与を申告し、贈与税を納めるにはどちらかの課税方式を選択しなければなりません。ここからは、それぞれの特徴や要件などを紹介します。知識を得ておくことで、自分の状況に合った税金対策をしやすくなるでしょう。

暦年課税の控除額は年間110万円

1年ごとに贈与税を算出しながら実施する贈与を暦年贈与といいます。暦年課税では、暦年(1月1日~12月31日)内に受けた贈与が110万円以下であれば贈与税がかかりません。年間110万円を超えた価格に該当する税率を掛け、控除額を差し引いた額が贈与税額です。

用いられる税率には「一般税率」と「特例税率」があります。特例税率が適用されるのは、直系尊属(父母や祖父母)からその年の1月1日時点で20歳以上の人物(子や孫)に対する贈与のみで、それ以外は一般税率です。税率は以下の速算表で確認しましょう。

一般税率

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円


特例税率

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円


(参考: 『贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)

相続時精算課税の控除額は2,500万円

相続時精算課税を選択するには、贈与があった年の翌年、2月1日~3月15日の間に申告書を提出する必要があります。贈与者と受贈者の要件は以下の通りです。

贈与者:原則その年の1月1日時点で60歳以上の直系尊属(父母または祖父母)
受贈者: 20歳以上で贈与者の直系卑属にあたる推定相続人及び孫
※推定相続人:現状のままで相続が開始したときに最優先順位の相続権を持つ人

要件を満たしている場合には、累計2,500万円までが控除されます。ただし、相続が発生すると相続税の課税対象となることを覚えておきましょう。また、一度相続時精算課税を選択すると暦年課税には戻れません。暦年課税では非課税となる110万円以下の贈与も相続税の対象となるため、どちらの課税方式を選ぶかは、慎重に判断しましょう。

贈与税の控除と非課税制度の違い

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贈与税対策に活用したいのが控除と非課税制度です。しかし「控除と非課税制度の違いが分からない」という方もいるのではないでしょうか。ここでは、贈与税における控除と非課税制度の違いについて解説します。うまく組み合わせながら贈与税対策に活かしましょう。

控除は暦年課税制度と相続時精算課税制度によるもの

贈与税における控除とは、暦年課税制度の基礎控除110万円と相続時精算課税制度を利用した場合に相続発生時まで繰り越せる2,500万円を指します。

一方、非課税制度とは「本来は課税対象だが制度によって特別に課税されないもの」を指します。例えば親や祖父母から受け取った教育資金や結婚・子育て資金などは、一定額まで非課税です。なお、贈与税の配偶者控除は「控除」とついていますが、贈与税の非課税制度のひとつであることも知識として把握しておくと、より理解が深まります。

控除と非課税は重複して利用できる

1人の贈与者からの贈与に、暦年課税と相続時精算課税の両方を使うことはできません。しかし、暦年課税の控除や相続時精算課税の特別控除と非課税制度は併用できることがあります。例えば以下のようなケースです。ただし、信託銀行を介する非課税制度は控除との組み合わせができません。

・祖父から孫へマイホーム購入費を贈与する場合
住宅取得等資金非課税制度3,000万円(該当する場合)と暦年課税の基礎控除110万円もしくは相続時精算課税の特別控除額2,500万円

・妻に自宅を贈与する場合
おしどり贈与2,000万円と暦年課税の基礎控除110万円

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生前贈与を非課税・軽減するために利用できる制度


一定の額を超えた生前贈与には贈与税がかかります。しかし、非課税制度の活用によって軽減が可能です。ここからは生前贈与を非課税・軽減できる制度を紹介します。適用を受けるには申告や手続きが必要になるものもあるため、正しい知識を得ておきましょう。

暦年課税を選択した生前贈与

暦年課税を選択した生前贈与の場合、1月1日~12月31日の間(暦年)に受け取った110万円以内の贈与には、贈与税はかかりません。

ただし、場合によっては定期贈与とみなされたり、生前贈与と認められなかったりすることもあります。その場合は基礎控除額内であっても税金がかかる可能性があることに留意しましょう。例えば子名義の通帳へ入金し、その通帳やキャッシュカードを親が管理している場合はいわゆる名義預金となり、贈与税ではなく相続税の対象となります。

このような事態を避けるためには、年ごとに贈与する金額を変更する、贈与のたびに贈与契約書を作成するなどの対策が有効です。

住宅取得資金等の贈与を受けたときの非課税制度

平成27年1月1日~令和3年12月31日までの間に、直系尊属から受けた住宅購入や新築・増築などを目的とした贈与に対し、一定額までは贈与税が非課税になる制度です。受贈者には以下のような要件が設けられています。

・贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
・贈与を受けた年の所得が2,000万円以下であること
・贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその家屋に居住すること(その後居住が確実に見込まれること)

その他家屋にも複数の要件が設けられています。該当するか事前に確認しましょう。また、非課税限度額は、新築や家屋取得の契約締結日と、契約時の消費税率によって異なります。

【非課税限度額:消費税率が10%の場合】

契約締結日 省エネ等住宅 それ以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,500万円 1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 1,200万円 700万円

【非課税限度額:上記以外の場合】

契約締結日 省エネ等住宅 それ以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1,200万円 700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日 1,000万円 500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日 800万円 300万円

住宅取得等資金の贈与に関する非課税の適用を受けるには、贈与税の申告が必要です。非課税限度額に収まる価額の贈与の場合も、忘れずに申告しましょう。

(参考: 『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm)

結婚・子育て資金の一括贈与を受けたときの非課税制度

平成27年4月1日~令和3年5月31日までに直系尊属から結婚・子育て資金として一括贈与を受けた場合、受贈者1人につき1,000万円までが非課税となる制度です。贈与者は、前もって結婚・子育て資金を贈与できます。

非課税限度額 受贈者1人につき1,000万円(結婚資金は300万円まで)
受贈者の要件 ・結婚・子育て資金管理契約の締結日に20歳以上50歳未満であること
・贈与を受けた年の前年の所得が1,000万円以下であること


結婚資金とは、挙式・披露宴の費用や衣装代、新居の家賃・敷金・礼金などのことです。子育て資金とは、不妊治療や妊婦健診に関わる費用や分娩費、幼稚園・保育園の保育料などを指します。

適用を受けるには、受贈者が金融機関に「結婚・子育て口座」を開設し、金融機関を通じて申告書を提出しなければなりません。また、資金を引き出した際には、結婚・子育て費用の領収書を金融機関に提出する必要があります。

教育資金の一括贈与を受けたときの非課税制度

平成25年4月1日~令和5年3月31日までに、直系尊属から教育資金に充てるための贈与を受けた場合、受贈者1人につき1,500万円までが非課税となる制度です。

非課税限度額 受贈者1人につき1,500万円(うち学校等以外に支払う金銭は500万円以内)
受贈者の要件 ・教育資金管理契約の締結日に30歳未満であること
・贈与を受けた年の前年の所得が1,000万円以下であること

ここでいう教育費とは、主に学校に支払われる入学金や授業料、学用品の購入費などのことです。また、学校以外の塾や習い事の月謝、通学のための定期代や留学のための渡航費なども500万円以内であれば非課税で贈与を受けられます。

この非課税制度の適用を受けるには、受贈者が金融機関に「教育資金口座」を開設し、金融機関を通じて申告書の提出をしなければなりません。また、資金を引き出した際には教育資金に充てたことが分かる領収書を金融機関に提出する必要があります。

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産や居住用不動産を取得するための金銭の贈与があった場合、最高2,000万円までは贈与税がかかりません。この特例を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された不動産(または贈与された資金で購入した不動産)に受贈者が住んでいる必要があります。

また、配偶者控除の適用を受けるには、贈与税の申告が必要です。申告時には、財産の贈与があってから10日を経過した以降に作成された戸籍謄本または抄本と戸籍の附票の写し、居住用不動産の登記事項証明書など(居住用不動産を取得したことを証明するもの)を添付しましょう。

なお、非課税限度額以内の贈与であっても申告しなければ非課税にはなりません。忘れずに申告しましょう。

特定障害者に関する贈与税の非課税制度

特定障害者の方が生活費として使うために財産を信託する場合、贈与税の非課税制度が利用できます。具体的には、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者を除く特定障害者の場合は3,000万円まで贈与税がかかりません。

適用を受けるには、信託銀行に資金を信託し、金融機関を通じて「障害者非課税信託申告書」を所轄税務署に提出する必要があります。

効果的な相続対策は税理士が知っています!

生前贈与の非課税制度にはさまざまなものがあり、それぞれに細かな要件が定められています。よりよい生前贈与対策には深い知識が求められるでしょう。不安がある場合には、専門家である税理士への相談をおすすめします。

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まとめ

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生前贈与の場合、贈与税の課税方式によって2種類の控除があります。さらに、住宅取得資金や結婚・子育て資金などには非課税制度も設けられており、控除と組み合わせて利用することも可能です。うまく活用することで税対策ができるでしょう。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)では、納税額のシミュレーションを実施し、効果的な贈与税や相続税対策のアドバイスをいたします。税務署への対応や税務処理などもお任せください。初回相談は無料です。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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