2021年11月10日2021年11月30日

孫に生前贈与するメリット・デメリット!税負担を軽くする方法は?

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自身が所有している財産を孫に渡したいと考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、孫は法定相続人ではないため、遺言書で遺贈することを明記していない限り死後に財産を渡せません。孫に財産を分け与えたいのであれば、生前贈与を検討するとよいでしょう。

そこでこの記事では、孫に生前贈与するメリット・デメリットを紹介します。生前贈与で気になる贈与税や税負担を軽くする対策も併せてチェックすれば、税負担を軽減しつつ効果的に財産を渡せるでしょう。

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孫に生前贈与をする2つのメリット

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孫に生前贈与をする主なメリットは相続税対策です。孫への生前贈与により相続税を一度回避でき、一部の例外を除いて生前贈与加算の対象外になります。相続税の仕組みをきちんと理解し、効果的に生前贈与をしましょう。ここでは、孫に生前贈与をするメリットについて解説します。

相続税対策になる

生前贈与として孫に直接財産を渡すと相続税の負担を軽減できます。法定相続人への相続のみで孫に財産を渡そうとすると、遺産額によっては子が相続するときだけでなく、子から孫への相続でも相続税を納めなければなりません。相続税を二度納めることになった場合には、孫に渡せる財産が少なくなってしまいます。
一方、生前贈与をすれば子を介さずに財産を渡せるので、相続税を一度回避できます。代わりに贈与税を納めなければならない場合もありますが、税制を理解してうまく生前贈与をすれば税負担を大幅に軽減できるでしょう。

孫は基本的に生前贈与加算の対象外である

生前贈与は贈与税の課税対象となるのが原則ですが、相続開始前の3年以内の贈与は相続税の課税対象となります。。しかし、孫は法定相続人ではありません。そのため、一部の例外を除いて生前贈与加算の対象外になることを覚えておくとよいでしょう。

ただし、孫が遺贈により財産を相続する場合は受遺者となるため、贈与された財産が相続税の対象になるだけでなく「相続税額の2割加算」の対象となります。被相続人の1親等以内の血族および配偶者以外が財産を相続する場合、税額控除前の相続税額に20%を掛けた額を本来の相続税額と併せて納めなければなりません。

押さえておきたい基礎知識|贈与税の課税方法は2種類

生前贈与で注意したいのは贈与税です。贈与税は贈与を受けた受贈者が納める税金で、課税方法には以下の2種類があります。

・暦年課税:受贈者1人当たり年間110万円の基礎控除を受けられる
・相続時精算課税:受贈者1人当たり累計2,500万円まで贈与税がかからない。ただし、相続発生時には相続財産に加算され相続税の課税対象となる

例えば、祖父からの贈与を暦年課税、祖母からの贈与を相続時精算課税のように贈与者ごとに分けて適用が可能です。ただし、相続時精算課税を選択した場合、途中から暦年課税に変更はできません。選択した年以降の贈与は全て相続時精算課税の対象です。

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孫への生前贈与【暦年課税】|贈与税の課税額は?

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暦年課税を選択した場合、贈与税の計算には一般税率と特例税率のいずれかを用います。税率を決めるのは贈与者と受贈者の関係や年齢です。税率によって贈与税額が異なるため、自分が生前贈与するときにはどちらを用いるのか理解する必要があるでしょう。ここでは、受贈者となる孫が20歳未満のケースと20歳以上のケースについて解説します。

孫が20歳未満のケース

受贈者となる孫が当該年の1月1日時点で20歳未満のケースでは一般税率を用います。一般税率とは、特例税率の対象となる贈与以外の贈与に用いられる税率です。一般税率を用いる際は以下の速算表を使用します。

課税価格 ※基礎控除後 税率 控除額
200万円以下 10% なし
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

一例として、孫が1年で500万円の生前贈与を受けたケースを見てみましょう。暦年課税には年間110万円の基礎控除があるため、課税対象となるのは390万円です。基礎控除後の課税価格が400万円以下の場合、税率は 20%、控除額は25万円となり、相続税額は以下の計算式で求められます。

390万円×20%-25万円=53万円

孫が20歳以上のケース

受贈者となる孫が20歳以上のケースで用いるのは特例税率です。特例税率は、直系尊属から当該年の1月1日時点で20歳以上の子や孫に贈与した場合に適用します。特例税率の速算表は以下の通りです。

課税価格 ※基礎控除後 税率 控除額
200万円以下 10% なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

20歳以上の孫に1年で500万円の財産を贈与したケースの贈与税額を計算しましょう。特例税率でも基礎控除は年間110万円なので、課税対象は390万円です。税率は15%、控除額は10万円で、相続税額は以下の式で求められます。

390万円×15%-10万円=48万5,000円

(参考: 『贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

孫への生前贈与|税負担を軽くするための対策方法

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孫への生前贈与のメリットは税金対策になることです。それぞれが置かれた状況により贈与税の負担を軽減できる方法は異なるため、対策方法を理解して上手に活用しましょう。ここでは、生前贈与で税負担を軽くするための対策方法を5つ紹介します。

基礎控除額内での暦年贈与

生前贈与における最も一般的な贈与税対策が、基礎控除額内での暦年贈与です。暦年贈与の基礎控除額は受贈者1人当たり年間110万円で、この金額以下の贈与には贈与税がかからず、申告の必要もありません。毎年110万円以下の財産を継続的に贈与することは、贈与税対策として有効といえるでしょう。

ただし、税務署に定期贈与と見なされないように注意しなければなりません。定期贈与と判断されると、一括で贈与したケースと同額の贈与税が課せられる恐れがあります。

相続時精算課税制度による贈与

生前贈与時に相続時精算課税制度を選択するためには、以下の要件を全て満たさなければなりません。

・60歳以上の父母または祖父母が贈与者
・当該年の1月1日に20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫が受贈者
・贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の間に贈与税の申告書を提出する

相続時精算課税制度を選択すると、累計2,500万円まで贈与財産には贈与税がかかりません。代わりに、相続発生時に相続税の課税対象となります。孫が相続する場合、相続税の2割加算の対象となり、税負担が予想以上に大きくなる恐れがあるので注意が必要です。以下のケースでは相続時精算課税で生前贈与するとメリットが大きいでしょう。

・相続税がかからない場合
・将来価値が上がる可能性が高い財産を渡す場合(非上場株式や一部の不動産など)

有価証券や不動産といった贈与財産は、相続時ではなく贈与時の評価額で相続税を算出します。つまり、贈与時より相続時の評価額が高くなっていれば、相続時精算課税制度のメリットを享受できるでしょう。

教育資金贈与の非課税制度を利用

贈与税には直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度があり、以下の要件を満たせば利用できます。

・非課税枠は受贈者1人当たり1,500万円(学校以外に支払う金銭は最大500万円)
・2023年3月31日までに贈与する
・直系尊属が贈与者
・30歳未満の直系卑属が受贈者
・教育資金に充当するための金銭等を贈与する

非課税となるのは、あくまで教育資金に充当する金銭です。具体的な教育資金の範囲を確認しましょう。

・学校などに直接支払う教育関連費(入学金、授業料、受験料など)
・学校以外の教育機関に支払う教育関連費(指導の対価や施設使用料など)
・教育機関以外に支払う教育関連の金銭(通学費用、留学渡航費など)

また、以下に該当する特殊なケースでは取り扱いが異なります。申告漏れがないように注意しましょう。

・贈与者が死亡: 一部の例外を除いて死亡する前3年以内に、当該制度を利用して贈与した財産のうち、教育資金に充当していない分を相続財産に含める(相続税の2割加算は適用しない)
・受贈者が30歳に達する: 教育資金に充当していない分に対して贈与税が課される

結婚・子育て資金贈与の非課税制度を利用

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度も贈与税対策として有効です。以下の要件を満たしている場合に利用できます。

・非課税枠は受贈者1人当たり1,000万円(結婚資金は300万円)
・2023年3月31日までに贈与する
・直系尊属が贈与者
・20歳以上50歳未満の直系卑属が受贈者
・結婚および子育て資金に充当するための金銭等を贈与する

対象となる結婚・子育て資金の範囲は、「結婚にかかる費用(婚礼費用、住居確保にかかる費用、転居費用)」と「妊娠・出産・育児にかかる費用」です。

非課税枠内の要件を満たした贈与に対して贈与税はかかりません。ただし、以下に該当する場合は注意が必要です。

・受贈者が50歳に達する: 結婚・子育て資金に充当しなかった分に贈与税がかかる
・贈与者が死亡: 結婚・子育て資金に充当しなかった分に相続税がかかる

一般的に、孫への遺贈は相続税の2割加算の対象ですが、受贈者が50歳に達する前に贈与者が死亡したケースは2割加算の対象外です。

住宅取得等資金贈与の非課税制度を利用

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度を利用すれば、以下の要件を満たした場合に贈与税の負担を減らせます。

・直系尊属が贈与者
・贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上の直系卑属が受贈者
・贈与を受けた年の所得税にかかる合計所得金額が2,000万円以下
・2009年~2014年までに住宅取得等資金の非課税制度を使用していない
・配偶者や親族などから住宅を取得していない
・贈与を受けたときに日本国内に住所がある(例外を除く)
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得した住宅に居住または同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実と見込まれる

当該制度を利用したときの非課税限度額は、以下のように住宅の種類や契約の締結日によって異なります。

  新築・増改築の対価に含まれる消費税等の税率が10% それ以外
新築・増改築の契約締結日 省エネ等住宅 左記以外 省エネ等住宅 左記以外
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円 1,000万円 500万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円 700万円 800万円 300万円

制度を利用する際には、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに特例を受けることを記載して贈与税の申告をしなければなりません。申告時には、戸籍証明書や登記事項証明書、契約書の写しといった書類の添付が必要です。

(参考: 『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

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孫に生前贈与をする際のポイント

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孫に生前贈与するときには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。税金対策や相続トラブル対策として重要なため、孫に生前贈与する前にチェックしましょう。ここでは、生前贈与と認められる対策と遺留分について解説します。

生前贈与と認められる対策をする

孫への贈与が生前贈与と認められないと、相続税がかかる恐れがあります。税務署に生前贈与と認めてもらうには、「受贈者が贈与を受ける意思があったこと」「名義預金に該当しないこと」「いつ・いくら贈与したか明確にすること」といった事実が重要なため、以下の対策が有効です。

・贈与契約書を作成する
・受贈者が管理する口座に振り込む

贈与契約書は双方の意思があったことを証明し、振り込みの記録は贈与した事実を証明できます。受贈者が管理する口座に振り込むことで、名義預金と判断されるリスクを減らせるでしょう。

遺留分について理解した上で贈与する

兄弟姉妹以外の相続人には遺留分があります。遺留分とは、相続財産のうち、法律上保証された最低限の取り分です。孫への生前贈与で配偶者や子に渡す財産が減ると、遺留分を侵害する恐れがあります。

遺留分を侵害された相続人が遺留分侵害額請求をすることも考えられるでしょう。遺留分侵害額請求とは、遺留分を侵害された相続人が財産を受け取った相手に対して侵害額相当の金銭を請求する権利です。相続トラブルを防ぎたいのであれば、遺留分について十分理解した上で、孫にどの程度の財産を渡すのか判断することをおすすめします。

ただし、遺留分を侵害しても生前贈与は無効にはなりません。全ての相続人が生前贈与に納得しているケースであれば、トラブルになりにくいでしょう。

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まとめ

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孫は法定相続人ではありませんが、生前贈与によって財産を渡せます。生前贈与をする際は、贈与税や相続税の仕組み、特例、各種非課税制度について正しく理解することが大切です。要件が複雑な制度が多いため、効果的に活用したいなら税理士をはじめとした専門家のサポートを受けるとよいでしょう。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルネスマネジメント)では、相続や資産運用の専門家が一人ひとりに応じた最適なサポートを提供しています。孫への生前贈与を考えている方や効果的な相続税・贈与税対策をしたい方は、お早めにご相談ください。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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