2022年1月7日2022年1月7日

遺産相続トラブルに発展するのはどういうとき?ケースと対策方法まとめ

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遺産相続トラブルは、一部の富裕層だけで起こるものではありません。一般的な家庭でも相続に関する問題は存在し、遺産相続トラブルに発展するケースはさまざまです。「遺産相続トラブルに発展して困っている」「遺産相続トラブルを未然に防ぎたい」という方もいるのではないでしょうか。

遺産相続にはどのようなトラブルがあるのかを知ることで、未然に防いだり円満に解決したりできます。財産の評価は専門性が高いため、専門家と連携して適切な相続税対策をすることも検討しましょう。そこでこの記事では、遺産相続トラブルへの発展が想定されるケースや効果的な対策方法について解説します。

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遺産相続トラブルに発展しやすいケース

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相続において遺産相続トラブルに発展しやすいケースがあります。例えば、分割が難しい相続財産があったり遺産の分割割合に納得できない相続人がいたりするケースです。リスクファクターを事前に知り、適切な対策をしましょう。ここでは、遺産相続トラブルに発展しやすい5つのケースについて解説します。

ケース1:分割が難しい相続財産がある

相続財産の中に不動産が含まれることは多く、分割の難しさからトラブルに発展しやすい相続財産の代表格とされています。単独名義にする際には他の相続人から協力を得にくく、評価に関する話し合いがまとまりにくいことなどが理由として挙げられます。

また、被相続人が事業を営んでいた場合も分割が難しいケースです。被相続人は事業承継のために自社株式や事業用の不動産を後継者に引き継ぎたいと考えますが、後継者以外の相続人が不公平だと感じ、トラブルに発展する恐れがあります。

ケース2:遺産の分割割合に納得できない相続人がいる

遺言書がない場合、遺産の分割割合は遺産分割協議によって決めます。被相続人の子同士で遺産の分割割合が異なる場合や特定の相続人が遺産を独占しようとした場合には、納得できない相続人が不公平だと感じ、遺産分割協議は難航するでしょう。

他にも、遺言書で特定の相続人に遺産が偏り過ぎていたり法定相続人の最低限の取り分である遺留分を侵害されたりすれば、遺産相続トラブルに発展する恐れがあります。

ケース3:相続前に遺産を使い込んだ人がいる

遺産の使い込みもトラブルに発展しやすいケースのひとつです。遺産の使い込みとは、被相続人の預貯金を勝手に下ろして使ったり、不動産・株式・生命保険といった資産を処分したりすることを指します。

特に使い込むことが多いのは、被相続人と同居していた相続人です。本来分割されるはずだった遺産が目減りするため、他の相続人が「遺産を使い込んだ相続人が相続する財産は少なくすべきだ」と主張することが考えられます。

ケース4:家族関係が複雑

家族関係が複雑だと、想定外の人物が法定相続人として権利を主張する場合があります。例えば、被相続人に離婚歴があり、前の配偶者との間に子がいるケースです。現在の配偶者との間にも子がいると、相続開始後に前の配偶者と子が現れ、権利を主張すると争いは大きくなる恐れがあります。

また、被相続人と配偶者が内縁関係だと、内縁関係にあるの配偶者は原則法定相続人にはなれないことを覚えておきましょう。

ケース5:他界後に被相続人の借金が発覚した

相続人は、被相続人の預貯金や不動産といったプラスの財産と共に、負債のようなマイナスの財産も相続するのが原則です。被相続人に借金があった場合、相続人同士のトラブルにはならないものの、相続人全員が不利益を被ります。

相続放棄を選ぶのもひとつの方法ですが、相続開始を知ってから3か月以内に手続きをしないと放棄は認められません。遺産の内容を確認する際には、故人が存命中に隠していた借金がないか注意しましょう。

押さえておきたい|遺産相続トラブルについての認識と及ぼす影響

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遺産相続トラブルは自分には関係ないと思っている方もいるかもしれませんが、遺産の額が5,000万円以下でも訴訟に発展するケースがあります。また、遺産分割協議がスムーズに進行しないことも考えられるでしょう。ここでは、遺産相続トラブルの認識や影響について解説します。

相続トラブルは遺産額に関係なく起こる可能性がある

遺産相続トラブルは、遺産が多い富裕層で起こるというイメージがあるかもしれません。しかし、家庭裁判所で争われる遺産分割事件の大半は、遺産額5,000万円以下のケースです。

裁判所が公開している2020年度の統計によると、遺産分割事件5,807件のうち遺産の額が5,000万円以下の件数は4,509件、つまり約78%でした。

代償金を支払うことになった4,098件の中でも、遺産額が5,000万円以下の件数は3,142件と約77%を占め、一般的な家庭でも遺産相続トラブルを抱えていることが分かります。遺産相続トラブルは自身にも起こり得る問題と考えることが大切です。

(参考: 『令和2年度司法統計 第52表 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)遺産の内容別遺産の価額別 全家庭裁判所』/https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/288/012288.pdf

遺産分割協議が進まない

被相続人が遺言書を作成していなかった場合、遺産分割協議が必要です。しかし、相続トラブルに発展すると遺産分割協議ができません。相続争いが激化して裁判になれば、数年にわたって解決しないこともあります。遺産相続トラブルの長期化により、相続手続きが進まないことは大きな問題です。

大きな労力や費用をかけて裁判をしても、数年越しで得られた遺産が予想を下回る場合もあります。相続人が精神的に疲弊するだけでなく、相続人同士の関係が修復不可能なレベルまで悪化することも珍しくありません。

相続税の控除を利用できなくなる可能性がある

遺産分割協議に期限はありませんが、相続税の控除を利用するには期限があります。相続税の申告期限は、相続開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10か月以内です。

申告期限までに遺産分割協議書を作成・提出できなければ、「小規模宅地等の課税価格の特例」「配偶者の税額軽減の特例」といった税制上の優遇措置を利用できません。ただし、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、申告期限から3年以内に遺産分割が完了すれば特例を利用できます。

実際の分割割合が見込みと異なる場合、遺産分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求が必要です。相続トラブルにより遺産分割が長引くと、通常よりも手続きの手間がかかることが分かるでしょう。

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被相続人|遺産相続トラブルを防ぐためにできる対策

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遺産相続トラブルが発生すると、穏便に解決するのは困難です。相続開始までに対策を講じ、トラブルが起こらないように努めることで未然に防げる確率が上がるでしょう。ここでは、遺産相続トラブルを防ぐために被相続人ができる対策を紹介します。

財産目録の準備と作成

遺産相続トラブルを防ぐ有効な対策のひとつは、財産目録を事前に準備、作成することです。財産目録とは、被相続人の資産や負債の項目や金額を記入した一覧を指します。

相続する財産は不動産・有価証券・車・貴金属・生命保険・住宅ローンと幅広く、プラスの財産だけでなくマイナスの財産もあり、全てを把握するのは困難です。被相続人の個人情報も関わるため、相続開始後に相続人が把握するのは、なおさら難しいでしょう。

専門家と連携して正確な財産目録を作成すれば、トラブルを予見した対策を講じられるため、遺産分割協議を進めやすくなります。

遺言書の作成

遺産相続トラブルが予測される場合、法的に有効な遺言書で意思を表明することが効果的です。ただし、遺言書の作成には厳格なルールが定められており、形式不備があると無効になります。無効とならない遺言書を作成するためにも、法律の知識を深めましょう。専門家にサポートを依頼するのも有効です。

また、法定相続人が遺言の内容に納得しないケースも考えられます。遺言書の作成に当たり、法定相続人全員の合意を得ることも相続トラブルを避けるためのポイントです。

法定相続人の数の確認と相続税の試算

遺産分割協議書の作成に当たっては、相続人全員の合意を要します。法定相続人となる人物と人数を把握し、法定相続人と情報を共有することで、スムーズな遺産分割が可能です。被相続人が知っていても、相続人が他の法定相続人を知らないケースもあるため、注意しましょう。

また、相続税額の試算も重要です。相続税の見込み額が分かれば、必要な相続税対策について事前に検討できます。

弁護士へ事前に依頼する

事前に弁護士に依頼することも、相続トラブルの有効な対策のひとつです。仮にトラブルが起きても、弁護士が関与したほうが円満に解決しやすくなります。

弁護士は法律や訴訟の専門家で、トラブルの解決能力が高い公正な第三者です。事前に依頼すれば事前協議の段階から関与してもらえるため、相続トラブルを未然に防ぎ、遺産分割協議の長期化が避けられます。

相続人|遺産相続トラブルを防ぐためにできる対策

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遺産相続トラブルを未然に防ぐには、遺言書の有無が重要です。また、トラブルに巻き込まれたくない方は、相続放棄を選択すれば財産だけでなく負債も相続する必要がありません。ここでは、遺産相続トラブルを防ぐために相続人ができる対策を紹介します。

遺言書の有無の確認

被相続人から遺言書の存在を伝えられていなくても、作成している可能性があります。相続開始前のトラブル回避を目的に、あえて隠している場合もあるため、まずは遺言書の有無を確認しましょう。遺言書がない場合、民法が定める比率で遺産を分割するか、遺産分割協議によって分割割合を決定します。

2020年7月に始まった「自筆証書遺言書保管制度」により、申請すれば自筆証書遺言書は法務省の遺言書保管所に保管が可能です。ただし、相続人が保管の事実を知らなければ、遺言書が発見されることはありません。2021年7月に始まった「死亡時の通知制度」では、あらかじめ遺言者が指定した相手に、遺言書が保管されていることを通知します。

相続放棄の検討

遺産相続トラブルに巻き込まれたくない場合、相続放棄も対策のひとつです。相続放棄すれば遺産相続の権利はなくなりますが、遺産相続トラブルと関わらずに済みます。マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合や相続税が高額な場合にも有効な選択肢です。

ただし、相続放棄すると次の順位の法定相続人(被相続人から見て子から父母、父母から兄弟姉妹)に相続権が移ります。相続放棄する場合、次の順位の法定相続人とトラブルにならないように注意しましょう。

遺産相続トラブル関連で相談できる専門家は?

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遺産相続トラブルにおいて、訴訟・交渉・調停の代理権があるのは弁護士のみで、税務申告の代理権があるのは税理士のみです。司法書士は登記に強く、行政書士は代書を専門とします。専門分野が異なるため、目的に合った専門家に相談しましょう。ここでは、それぞれの専門家の役割や対応できることを紹介します。

代理人になってくれる「弁護士」

弁護士は訴訟や法律事務のエキスパートです。法的紛争に関する代理権があり、家庭裁判所や地方裁判所といった全ての裁判所における訴訟を代理できます。さらに、当事者の代理人として遺産分割の交渉や調停も可能です。これらの代理は他の士業にはできません。

トラブル回避を踏まえた遺言書の作成や事業承継問題への対応など、法律が関わるさまざまな業務に対応できることが特徴です。ただし、弁護士によって得意分野は異なるため、遺産相続問題に対応できる弁護士に依頼しましょう。

不動産の相続登記に対応できる「司法書士」

司法書士は、不動産の所有権移転登記や抵当権抹消登記といった相続に関わる登記の手続きに対応できます。不動産が遺産に含まれる相続は多く、煩雑な登記の手続きは司法書士に依頼するのが一般的です。

他にも、遺言書の作成や検認、遺言執行、遺産分割協議書の作成、相続放棄の手続きといった裁判所や法務局に提出する書類の作成ができます。一方、地方裁判所や家庭裁判所での訴訟や遺産分割の交渉・調停の代理はできず、相続トラブルの仲介には関与できません。

文書や申請書の作成にたけた「行政書士」

行政書士は代理で書類作成をします。代書の専門家と考えると分かりやすいでしょう。遺産分割協議書や遺言書の作成、車や株式の名義変更手続きはできますが、担当できる業務の範囲は司法書士より限定的です。

例えば、代理権がないため、裁判所に対する申請や遺産分割の交渉・調停はできません。弁護士や司法書士に依頼するほど相続問題が複雑ではない場合、専門的な書類作成のみスポット的に依頼できます。

税金対策や税務申告のスペシャリスト「税理士」

税理士は税金に関する専門家です。相続財産の評価や相続税の申告をはじめ、被相続人の確定申告を代理する「準確定申告」や相続税の更正請求にも対応します。

中でも、相続財産の評価は特に専門性が高く、税務の専門家でなければ正確な計算は難しいでしょう。正しい評価をした上で、相続税対策に関するアドバイスを受けられるのは大きなメリットです。税務調査が入った場合、立ち合いも依頼できます。

ただし、税理士が扱う分野は幅広いため、相続税や資産承継に詳しく実績のある税理士に依頼することが大切です。

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まとめ

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遺産相続トラブルは一部の富裕層だけでなく、一般的な家庭でも起こります。相続財産を正確に評価し、遺言書を不備なく作成して、トラブルを未然に防ぐことが大切です。いずれの手続きも専門性が高いため、税務の専門家と連携するとよいでしょう。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)は、相続税対策や遺産相続トラブルのお悩みを、きめ細やかにサポートします。相続問題の円満な解決をお求めなら、ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)にご相談ください。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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