2022年4月22日2022年8月30日税務資産運用

個人事業主の節税対策とは? 外したくない3つの基本を徹底解説

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「個人事業主ができる節税対策を知りたい」「できるだけ税金を抑えたいけれど、なにから手を付ければよいのか分からない」と思われている方もいるのではないでしょうか。所得税の主な節税対策として「青色申告」「経費の計上」「所得控除」の3つが挙げられます。

この記事では、個人事業主ができる節税対策の基本を押さえるとともに、収支状況による節税の方針も解説します。自身の状況に照らし合わせ、最適な節税方法のひとつとして参考にしてみてください。

 

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個人事業主が納める5つの税金

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個人事業主が納める税金は、「所得税」「住民税」「個人事業税」「消費税」「償却資産税」の5種類です。所得税・住民税・個人事業税は、所得税の確定申告によって手続きが完了します。消費税・償却資産税の納付義務がある場合は、所得税の確定申告の他にそれぞれ申告が必要です。

1.所得税

所得税とは個人で得た所得に対し課される税金で、10種類に区分されます。それぞれの概要は次の通りです。

所得の種類 概要
利子所得 預貯金、国債、社債などの利子や公社債投資信託などの配当
配当所得 株式や投資信託(利子所得の対象となる投資信託を除く)の配当
不動産所得 土地建物などの不動産、借地権といった不動産関連の権利などから生じる所得
事業所得 農業、卸売業、サービス業など、自営業で得た所得
給与所得 勤務先から受け取る給与や賞与など
退職所得 退職により勤務先から受け取る退職手当など
山林所得 山林を伐採して売却したり、立木のまま譲渡したりすることによる所得
譲渡所得 不動産や株式などの資産を譲渡することで得る所得
一時所得 懸賞などの賞金や競馬の払戻金、生命保険の一時金など
雑所得 上記のどの所得にも該当しないもの

個人事業主が事業を営んで得た所得は、事業所得に該当します。事業所得は「総収入金額-必要経費」で求めます。

2.住民税

住民税は、それぞれの自治体に住む人たちが地域社会の費用を分担するために納付する税金です。住民税は「市町村民税」と「道府県民税」に分かれます。所得金額にかかわらず一定額を支払わなければならない均等割と、所得金額に一定税率を乗じて計算する所得割が徴収される仕組みです。

3.個人事業税

個人事業税とは、個人事業主が事業を営む上で利用する行政サービスの経費の一部を負担するための税金です。個人事業税の課税対象として、法律で70種類の業種が定められています。ほとんどの業種が、この70種類に該当すると言えるでしょう。なお、業種は3区分に分けられており、区分ごとに3%~5%の税率が設定されています。

4.消費税

消費税は、商品やサービスの提供などを課税対象とする税金です。商品を購入したりサービスを受けたりする消費者が実質負担する税金ですが、実際には生産や小売段階の事業者が納税します。課税義務者が直接納付する所得税とは異なり、消費税は事業者が納付する間接税です。

5.償却資産税

償却資産税は固定資産税の一種で、事業用資産に対し課されます。土地や建物、自動車車両など、償却資産税とは別に税金が課される資産は対象となりません。毎年1月1日時点で所有している償却資産について、取得年月や取得価額、耐用年数などの情報を記載し1月31日までに申告します。

所得税はどうやって計算するの?

主な節税対象として挙げられる所得税の計算方法を確認してみましょう。次のように、大きく3段階に分けられます。

1.年間の所得金額を求める:収入額-必要経費=所得金額
2.所得額から所得控除を差し引く:所得金額-所得控除=課税所得金額
3.税率を乗じる:課税所得金額×税率=所得税額

所得税の税率は、課税所得金額が増えるほど税率も上がっていく仕組みです。課税所得金額によって、5%から45%の7段階に区分されます。税率は、次表の通りです。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円~1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円~3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

※課税所得金額は1,000円未満の端数を切り捨てた後の金額を利用します

課税所得金額が1,000万円の場合、「1,000万円×税率33%-控除額153万6,000円=176万4,000円」のように計算します。

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個人事業主の節税対策その1|青色申告をする

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青色申告とは、一定の水準を満たした記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人が税務上のメリットを受けられる制度です。青色申告制度の利用は、個人事業主の節税対策として外せないものだと言えるでしょう。ここでは青色申告のメリットについて解説します。

青色申告特別控除は最高65万円

次の適用要件を満たした場合は、65万円の青色申告特別控除が適用されます。ただし、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告をしていないときは、控除額が55万円となります。

・不動産所得または事業所得がある
・複式簿記で記帳している(発生主義である)
・記帳に基づいて作成した損益計算書と貸借対照表を確定申告書に添付する
・その年の確定申告の法定期限までに提出する
・電子帳簿保存またはe-Taxによる申告をしている

簿記では実際に現金の動く取引ではなくても、その取引が発生した時点で帳簿に記載します。これを「発生主義」と呼びます。実際に現金の動く取引を記帳する「現金主義」では最大65万円の控除を受けられません。

青色事業専従者給与の特例が適用できる

生計を一にしている配偶者や親族が納税者の営む事業で働いている場合、納税者がこれらの配偶者や親族に給与を支払っても、原則的には必要経費として認められません。

しかし青色申告をした上で適用要件を満たせば、青色事業専従者給与として一定額を必要経費にできます。

貸倒引当金の繰入額を必要経費にできる

貸倒引当金とは倒産などで取引先が支払不能になった場合の損失を見込んで、事前に積み立てておく勘定科目です。青色申告をすることで、売掛金や貸付金などの年末残高に対し、5.5%以下(金融業は3.3%)の金額を貸倒引当金繰入額として経費計上できます。

翌年以後3年間にわたって赤字を繰り越せる

青色申告では、事業で赤字を出した場合に、その損失額を翌年から最長3年間まで繰り越せます。前年も青色申告をしていれば、損失の繰り戻しも可能です。その年の損失額を前年分の所得に繰り戻すことで前年の所得と相殺し、前年分の所得税の還付を受けられます。

購入額30万円未満の資産を一括で経費に計上できる

パソコンなどの高額な資産は固定資産として毎年減価償却されますが、青色申告をすることで「少額減価償却資産の特例」を利用できます。30万円までの少額資産であれば、購入額の一括計上が可能です。特例の適用を受けるには「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付する必要があります。

個人事業主の節税対策その2|経費を漏らさず計上する

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所得税の税率は、所得が高くなるほど高くなる仕組みです。経費を漏らさず計上し所得金額を抑えることで、節税につながります。ここでは、「個人事業主の経費として認められるもの」「家事按分」「経営セーフティ共済」に焦点を当てました。

個人事業主の経費として認められるもの

事業を営む上で必要な費用は、経費として認められます。したがって、プライベートでの支出は経費として認められません。下記に、個人事業主の経費として認められるものをまとめました。

・租税公課:消費税や個人事業税、固定資産税、消費税、不動産所得税など
・荷造運賃:商品発送時に必要な段ボールやガムテープ、運送料など
・水道光熱費:水道代や電気代、ガス代など
・旅費交通費:出勤や出張時などの交通費、宿泊費など
・通信費:電話代やインターネット料金など
・広告宣伝費:新聞やテレビによる宣伝費用など
・接待交際費:取引先との飲食代やお中元・お歳暮の費用、慶弔見舞金など
・消耗品費:文房具など、10万円未満の消耗品購入費用
・減価償却費:事業用の建物や機械装置などの減価償却資産
・福利厚生費:従業員の食事代や健康診断の費用など(事業者本人や専従者に対するものを除く)

「家事按分」で家賃を按分計上する

家事按分とは、自宅と事務所が同じときや、設備や備品を事業と日常生活で共用しているときに行う経理処理です。個人事業主が自宅で仕事をしている場合は、家賃や光熱費の一部を事業の経費として計上できます。

家事按分は、明確で合理的な根拠がなければ利用できません。リビングで作業を行う場合などは、作業スペースや作業時間などを明確に区分することが難しいことが多いです。このような場合は、税務調査によって家事按分が認められないケースがあります。

経営セーフティ共済の掛金は経費として計上できる

経営セーフティ共済とは、取引先が倒産しても資金繰りに影響が出ないようにするための制度です。掛金は月額5,000円から20万円まで選べ、増額や減額もできます。掛金を必要経費として認められます。

個人事業主の節税対策その3|所得税の所得控除を活用する

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所得税は「申告納税制度」なので、自分で申告しなければなりません。所得税の仕組みを正しく理解していないと、節税対策として利用できる制度を見逃してしまう可能性があります。所得控除には多くの種類がありますので、漏らさず確認しましょう。

所得控除は15種類

所得税には納税者一人ひとりの状況を考慮するための、「所得控除」という制度があります。15種類ある所得控除のうち、要件に当てはまるものがあれば、課税所得金額から各所得控除の額を差し引ける仕組みです。

所得控除の種類 適用できるケース
雑損控除 災害や盗難などによって一定の資産に損害を受けた
医療費控除 納税者本人や生計を一にする配偶者・親族のために10万円以上の医療費を支払った
社会保険料控除 納税者本人や生計を一にする配偶者・親族のために健康保険や国民年金などの社会保険料を支払った
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済やiDeCoなどの掛金を支払った
生命保険料控除 生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った
地震保険料控除 特定の損害保険契約による地震保険などの損害部分の保険料や掛金を支払った
寄附金控除 地方公共団体や特定公益増進法人などに対して「特定寄附金」に該当する寄附を行った
障害者控除 納税者本人や配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる
寡婦控除 納税者本人が「ひとり親」に該当しない寡婦である
ひとり親控除 納税者本人が「ひとり親」に該当する
勤労学生控除 納税者本人が勤労学生である
配偶者控除 「年間の所得金額が48万円以下」などの要件を満たす扶養配偶者がいる
配偶者特別控除 「年間の所得金額が48万円超133万円以下」などの要件を満たす扶養配偶者がいる
扶養控除 所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる
基礎控除 納税者本人の合計所得金額が2,500万円以下である

小規模企業共済とは個人事業主の退職金制度

小規模企業共済制度とは、個人事業主や小規模企業の経営者または役員が加入できる制度です。小規模企業共済に加入することで、会社員でいう退職金が受け取れます。

月々の掛金は毎月1,000円から7万円まで500円単位で設定ができ、増額や減額もできる仕組みです。小規模企業共済の掛金は全額を所得控除できるため、高い節税効果があると言えるでしょう。

iDeCoの掛金は全額を所得控除できる

iDeCoとは個人型確定拠出年金の愛称であり、確定拠出年金法に基づく任意加入の私的年金の制度です。掛金の全額を所得控除できるほか、運用益が非課税であったり給付金の受け取り時に税制上の優遇措置を受けられたりと、多くの節税メリットがあります。

掛金の限度額は加入区分によって異なり、個人事業主の場合は月額6万8,000円です。会社員の拠出限度額が2万3,000円であるのと比較すると、個人事業主がiDeCoを活用するメリットは大きいと言えるでしょう。

収支状況ごとの節税方針

「収支が毎年安定している」「収入の変動が大きい」など、収支状況は個人によって異なるのが通常です。効果的な節税をするために、自分の状況にあった方針で節税に取り組みましょう。

収支が安定しているのであれば所得税額は大きく変わらないため、年間を通して行う節税対策をおすすめします。言い換えれば、そのとき限りの対策は控えましょう。年末などに駆け込みで経費を計上しても、その分翌年に計上できる経費が少なくなるだけです。

毎年収入が増えているケースも同様に、年間を通して行う節税対策が有効です。ただし、これからも収入が増える見通しであれば、経費計上は翌年以降に回したほうがよい可能性があります。所得金額が増え税率が上がる場合、同額の経費でも高い税率のほうがより高い節税効果を期待できるためです。

また、一般的には所得金額が800万円を超えるタイミングで法人化を検討するとよいと言われています。収入が順調に増えるようであれば、所得金額800万円を目安に法人化を検討するのもひとつの方法でしょう。

収支の変動幅が大きく安定しないケースでは、その年の収入の見込みが立てづらく、節税方針もその年の収支状況に合わせる必要があります。例年より収入が多かった場合には、経費計上できるものは翌年に回さず年末に計上するとよいでしょう。

個人事業主における節税対策の注意ポイント

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領収書整理などの作業や税金の申告手続きには、時間も手間もかかります。「時間がない」「正しい申告ができるか不安」という方は、一度税理士に相談するとよいでしょう。ここでは、個人事業主が自身で節税対策に取り組む場合の注意点を解説します。

忘れずに領収書を受け取る

レシートや領収書は、支出が必要経費であることを証明するために必要です。忘れずに受け取るようにしましょう。領収書がない場合は出金伝票で処理します。また領収書には保存期間が定められており、原則、青色申告では7年、白色申告では5年保存しなければいけません。

売上高が1,000万円を超えたら消費税に注意

前々年の売上高が1,000万円を超える場合は、消費税の納税が必要です。また前々年の売上高が1,000万円以下であっても、前年の1月1日から6月30日までの期間で売上高が1,000万円を超えた場合には納税しなければなりません。

消費税は2年前の売上高を基準として課税されることの多い税金です。納税時に収入が減ってしまい、支払いが難しくなることも考えられます。消費税の申告が必要な場合は、事前に納税資金を確保しておきましょう。

個人事業主の節税対策は税理士に相談を!

個人事業主の節税対策は、一人ひとりの状況にあったものを選択する必要があります。より効果の高い節税をするために、税理士に相談するのもひとつの方法です。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー・株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)には、高い専門性を誇るアドバイザーが数多く在籍しています。国際税務にも精通しており、幅広いビジネス展開に対応できる体制が特色です。

個人事業主が資産を守りつつ税金を抑えるためには、専門家のサポートを受けることをおすすめします。この機会に、ネイチャーグループまでご相談ください。

まとめ

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個人事業主の節税対策として外せないものは、「青色申告をする」「経費を漏らさず計上する」「所得税の所得控除を活用する」の3つです。特に青色申告には個人事業主が活用できる税制上のメリットが多くあります。

個人事業主の所得税申告や節税対策は、ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー・株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)にお任せください。専門知識を持ったアドバイザーが、一人ひとりに合ったサポートをします。確定申告に不安や負担を感じている方は、ネイチャーグループがお力になれます。

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資産運用や税金対策は専門的な知識が必要で、「そもそも何をすればいいか分からない」方が多いと思います。
また、投資経験者の多くが不安や悩みを抱えているのも事実です。
そのような不安や悩みを解決するべく、経験豊富なコンサルタントがどんな相談内容にも丁寧にお答えします。
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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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