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不動産投資の利回りとは?特徴や計算方法を徹底解説


「不動産投資は利回りが重要」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。しかし、不動産投資の経験が少ない方、未経験の方のなかには、「利回り」という単語を数字だけで判断している方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、利回りの示す本当の意味や特徴などをご紹介します。この記事を読むことで利回りとはどのようなものなのか、また利回りの観点からの物件選びについても学べるでしょう。




不動産投資の利回りとはどういうもの?


「利回り」は、「不動産における年間収益の投資金額に対する割合」です。不動産を購入するために投資した費用の何%を1年間の家賃収入で得られるかがわかります。

不動産の利回りを計算することで、実際にどのような物件を選ぶべきなのか、どのくらいの利益を得られるのかといった分析ができるでしょう。

不動産投資の利回りの種類と計算方法

不動産投資における利回りには、「想定利回り」「表面利回り」などいくつかの種類が存在します。ここでは、それぞれの示す意味や違い、そして計算式をご紹介します。利回り計算をする際に活用しましょう。

想定利回り

想定利回りとは、「空室なしの状態での家賃収入で計算する利回り」を指します。主にアパートなどの1棟投資の場合に用いられる利回りとなり、計算式は以下のとおりです。

・「満室時の年間賃料収入合計」÷「不動産購入費用」×100=想定利回り(%)

仮に全8戸のアパートを1億円で購入し、1部屋6万円/月の賃料で貸し出すとします。この場合の想定利回りは以下のとおりになります。

・(6万円×8戸×12か月)÷1億円×100=5.76%

複数の物件を所有し、不動産投資全体の利回りを計算したい場合などに使用する計算式です。

表面利回り

表面利回りとは、「年間の家賃収入で計算する利回り」となります。一見想定利回りと同じようなイメージをもつかもしれませんが、表面利回りは不動産物件1戸ずつ個別の利回りを出すときに使用されます。計算式は以下のとおりです。

・「年間賃料収入合計」÷「不動産購入費用」×100=表面利回り(%)

仮に3,000万円で購入した物件を、8万円/月で貸し出す場合の表面利回りを計算してみましょう。

・(8万円×12か月)÷3,000万円×100=3.2%

仮に所有する不動産が1戸の場合、表面利回り=想定利回りということになります。

実質利回り

実質利回りとは、「年間の家賃収入から管理費などの諸経費を除いた収入で計算する利回り」です。言葉のとおり実際にはこの利回りが本当の意味での利回りと考えてよいでしょう。計算式は以下のとおりです。

・「年間賃料収入合計-諸経費」÷「不動産購入費用」×100=実質利回り(%)

仮に3,000万円で購入した物件を、8万円/月で貸し出し、諸経費が年間で10万円必要な場合の実質利回りを計算してみましょう。

・(8万円×12か月-10万円)÷3,000万円×100=約2.87%

実際に運用する際に気にしなければならないのは実質利回りです。表面利回りや想定利回りは、物件売買の際に不動産会社から提示される数字と覚えておきましょう。

表記の種類として、表面利回りを「グロス利回り」、実質利回りを「ネット利回り」とするケースもあります。



不動産投資の平均的な利回りの目安

利回りの数字が示す意味や計算方法を理解したところで、実際にどの程度の利回りを目安に不動産投資を行えばよいかを確認してみましょう。地域別に見る利回り相場について解説します。

都内ワンルームマンションの平均相場

利回りの計算では、毎月の家賃設定が非常に大きなウエイトを占めます。そのため、立地の影響を受けやすい家賃によって利回りの相場は大きく変動することは利回りの特徴のひとつです。

ここで都内のワンルームマンションの利回りの平均相場を見てみましょう。不動産の鑑定評価を行っている「一般財団法人 日本不動産研究所」では、定期的に利回り相場を公表しています。以下は2019年10月に公表された利回り相場です。

東京都内とはいっても、地域によって利回り相場は変動します。ここでは、大田区や品川区などを含む東京23区の南側「城南地区」と、墨田区や江東区などの東京23区の東側「城東地区」の相場を確認します。

 
2019年4月 2019年10月
城南地区 4.3% 4.2% -0.1%
城東地区 4.5% 4.5% ±0%

城南地区の相場がやや低くなっているものの、ほぼ横ばいと考えてよいでしょう。

地域別の平均相場

2019年4月 2019年10月
北海道札幌市 5.5% 5.5% ±0%
宮城県仙台市 5.5% 5.5% ±0%
神奈川県横浜市 5.0% 5.0% ±0%
愛知県名古屋市 5.1% 5.0% -0.1%
京都府京都市 5.2% 5.2% ±0%
大阪府大阪市 4.9% 4.9% ±0%
兵庫県神戸市 5.2% 5.2% ±0%
広島県広島市 5.8% 5.7% -0.1%
福岡県福岡市 5.2% 5.1% -0.1%
全国のおもな政令指定都市における、ワンルーム物件の利回り相場です。東京23区内の数値と同様に、大きな変動はなく横ばい状態が続いていると考えてよいでしょう。

また利回り相場に注目すると、大阪市を除けばすべて5.0%台です。より人口が多い地域ほど利回り相場は安くなる傾向にあるといえます。

(参考:『日本不動産研究所 第41回 不動産投資家調査(2019年10月現在)』

理想的な利回りはどれくらい?

利回りは高いに越したことはありません。利回りが高いということは、物件購入費用が安く、かつ家賃設定が高いということです。そのため、入居者が集まりにくいという結果につながりやすいでしょう。

こうした懸念からも相場からかけ離れた物件は不動産投資ではリスクをともないます。地域の相場から1%~2%ほど高い利回りを示していることが理想といえるでしょう。具体的にはマンション1室の投資では5%前後(新築)~8%(中古)、アパートなど1棟の投資では8%(新築)~10%(中古)がひとつの目安です。

利回りを踏まえた不動産投資のポイント

不動産投資は資産運用の手段ですから、ある程度収益を上げることが目的となります。そのために押さえておきたいポイントは、多岐にわたります。そのなかから、利回りを踏まえたうえでおさえておきたいポイントを確認しましょう。

実質利回りを確認してから選ぶ

一般的に投資目的で物件を探しているときに目にする利回りは、「表面利回り」ではないでしょうか。これは少しでも利回りをよく見せたいという業者の思惑もありますが、実際にかかる諸経費が決まっていないという事情も考えられます。

しかし、実際に不動産投資を行うことを考えれば、より重要になる点は「実質利回り」です。表面利回りから実質利回りを算出するには、毎年必要な諸経費をある程度想定する必要があります。積立金、管理費、維持費、保険料、固定資産税など不動産を維持する際に必要なランニングコストを計算し、家賃収入からランニングコストを引いて算出します。

さらに慎重に投資を考えるのであれば、物件が空室になる可能性も加味することが重要です。ある程度の空室期間も設定し、自分なりの実質利回りを計算しましょう。

高利回りの物件は理由を分析する

不動産投資目的で物件を探していると、時折非常に利回りの高い物件を目にすることがあるでしょう。すぐに購入したくなるところですが、利回りが高いということは何かしら理由があるはずです。まずはその物件がなぜ高利回りなのかを調べておく必要があります。

立地が悪い物件だったり、事故物件だったりといった入居者に不利益になることが高利回りの理由となっている場合もあるでしょう。物件をしっかり分析して、理由をつきとめることが重要です。

中古一棟物件の場合は空室リスクを考える

一般的に不動産投資においては、新築物件よりも中古物件のほうが利回りは高くなります。中古物件は、新築物件よりも購入金額が安くなることが主な理由です。とくに中古アパートなどの一棟購入の場合は、さらに想定利回りは高くなります。

一棟購入を考えている場合は、必ず空室リスクを考えておきましょう。想定利回りは、「空室が一切出ずに満室状態が続いている場合」を想定した数値です。諸経費を計算した実質利回りを算出することはもちろん、ある程度の空室リスクも考慮に入れて実質利回りを考えることが必要でしょう。

中古物件の場合は空室の状況を調べられます。現状を調べて、想定利回りが実際とかけ離れた数値となっていないかを確認することも大切です。

利回りが低い新築物件も検討する

利回りに固執しすぎると、利回りが低い物件は初めから購入候補から外れてしまう可能性があります。

たとえば中古物件と比較して、新築物件は表面利回りが安くなりがちです。しかし新築物件は入居者を集めやすいだけではなく、修繕費用がかかることも当面はあまりありません。利回りが低くてもメリットが大きいというケースもあることを覚えておきましょう。

利回りが高い物件はその理由を調べることが重要ですが、同様に利回りが低い物件に関してもその理由を調べておくとよいでしょう。



物件選びは利回りだけに左右されないようにすべき

不動産投資を考えるにあたり、利回りは重要な要素になります。ただし重要な要素のうちのひとつに過ぎません。不動産投資を考えるのであれば、利回りについての知識はもちつつ、利回りだけに左右されない物件選びを心がける必要があります。ここでは物件購入の際、注目したいポイントについて見ていきましょう。

利回りが低くても検討すべき物件の特徴

利回りが低い物件は、できれば避けたい物件であることは間違いありません。しかし利回りが低いということは、物件の価値(購入費用)に比べて家賃設定が安いという考え方もできます。

価値ある物件でありながら家賃が安いということになれば、空室リスクをあまり考えなくてよいというメリットがあります。

新築物件は利回りが低めになる傾向ですが、新築や築浅物件は、入居者にとっても大きなプラスポイントとなることは間違いありません。

利回りが低いからといって最初から否定するのではなく、まずはなぜ利回りが低いのかを考え、利回りが低い理由に納得がいく場合は、購入を検討する価値は十分にあります。

利回りが高くても避けるべき物件の特徴

利回りが高いということは、物件の価値と比較して家賃が高めの設定になっていることになります。一般的に賃貸物件の家賃が高めに設定される状況を考えてみましょう。

たとえば旧耐震基準で建てられた物件は建物自体の資産価値が低いばかりか融資がつきにくいため、売却は難しいものです。不動産投資は売却時のキャピタルゲインまでを想定しなければなりません。キャピタルゲインを得られない場合、インカムゲインである家賃収入で賄うことを考えがちですが、こうした考えは大きなリスクをともないます。

旧耐震基準で建てられた物件などはたとえ高い利回りでも、近い将来負の遺産になりかねないリスクを抱えていると認識したほうがよいでしょう。

利回りがほかの物件と比較して妙に高い物件は、何かしら理由があるものです。まずは利回りが高い理由をよく調べるようにしましょう。

まとめ

不動産投資にはさまざまな思惑があり、「初めての不動産投資は利回り〇%の物件がおすすめ」とは言い切れません。たとえば不動産投資に対して「赤字にならなければOK」と考えている方もいれば、「今後は不動産投資を収入の中心に考えたい」と考えている方もいるでしょう。

不動産投資の目的はさまざまです。そして目的によって考えるべき利回りの数値も当然変わってきます。投資や相続は、一人ひとりで環境や状況、条件、目的が違うものです。自分ひとりで考えても、なかなか正解にはたどり着けないことも多いでしょう。

不動産投資を考えている方には、投資アドバイスのプロ集団でもある税理士法人ネイチャー国際資産税へご相談ください。ご自身で気づいていなかった点や、見落としていた点を的確にアドバイスいたします。

また、不動産投資のイメージが具体的にできていないという方へ、セミナーも開催しています。不動産投資に興味があるという方は、まずはこうしたセミナーに参加し、不動産投資について理解を深めることもおすすめです。



芦田 敏之

【監修者プロフィール】
税理士法人 ネイチャー国際資産税代表
国内外の資産税に精通しており、富裕層の資産対策を中心にワールドワイドかつ多数のコンサルティング実績を持つ。世界全体で約100の金融機関との取引を経験している。資産規模100億円超えのクライアントに数多く対応してきたことから「日本一富裕層を知る税理士」というキャッチコピーで話題。近年は働きやすい職場環境の普及活動にも意欲を見せており、これまでテレビ番組や日本経済新聞、Forbes JAPANなどさまざまなメディアにも登場している。
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