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2022年3月11日2022年6月13日税務

法人税の実効税率とは|計算方法や表面税率との違いも解説

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法人税の実効税率とは、法人に対して課税されるいくつかの税金の税率から計算した税率です。「法人税の実効税率を知りたい」という方もいるのではないでしょうか。正確な実効税率は事務所の所在地や資本金の額などによって異なり、法人ごとの状況に合わせて計算する必要があります。

そこでこの記事では、法人税の実効税率の計算方法に焦点を当てました。法人税の実効税率を構成する5種類の税金の紹介の他、これまでの税率の推移や国際比較についても分かる内容です。

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法人税の実効税率とは

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法人税の実効税率とは、法人の実質的な税負担率のことを指します。所得を計算する上で事業税が損金に算入されるため、単純に法人税や住民税などの税率を合計したものではない点に注意しましょう。また、住民税や事業税の税率は自治体によって変わることから、実効税率は事業所の所在地によって異なります。

法人税の実効税率の計算方法

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実効税率の計算には法人税率だけでなく、住民税や事業税の税率も使います。ここでは、実効税率の計算方法をまとめました。また、東京23区内の大企業や中小企業の場合、実効税率が何%になるのかも分かる内容になっています。

実効税率の計算式

実効税率は、法人税、地方法人税、住民税、事業税、特別法人事業税の税率を使って計算します。計算式は、次の通りです。

・実効税率=(法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+特別法人事業税率) ÷(1+事業税率+特別法人事業税率)

また、実際に負担する税率である実効税率に対し、法令などで規定されている税率を表面税率と言います。表面税率の計算式は、次の通りです。

・表面税率=法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+特別法人事業税率

これらの計算式を使って計算をすると、東京23区の外形標準課税が適用される資本金1億円超の法人の場合、実効税率は30.62%、表面税率は31.78%となります。実効税率は企業会計上の税効果会計を行う際に使用し、表面税率は税金を納付や申告に使用するものです。

大企業の実効税率

東京23区を例に、資本金額が1億円超であり、外形標準課税適用となる大企業の実効税率の計算方法を見てみましょう。外形標準課税とは事業税に導入されている制度であり、利益にとらわれない「外形」を基準にして課税されるものです。外形には、資本金の額や支払給与などが該当します。

法人税等のそれぞれの税率は、次の通りです。

・法人税率:23.20%
・地方法人税率:10.30%
・都道府県民税(超過税率):10.40%
・事業税(所得割、超過税率):1.18%
・特別法人事業税:1.00%×260.00%=2.60%

以上の税率を使って実効税率を求めます。

{法人税率23.20%×(1+地方法人税率10.30%+住民税率10.40%)+事業税率1.18%+特別法人事業税率2.60%}÷(1+事業税率1.18%+特別法人事業税率2.60%)

=実効税率30.62%

中小企業の実効税率

次に東京23区における資本金1億円以下の中小企業(外形標準課税不適用)について、住民税・事業税が「超過税率」のケースと「標準税率」のケースに分けて、実効税率の計算方法を解説します。なお、住民税・事業税において超過税率が適用されるのは次の場合です。

・住民税:法人税額が年1,000万円超
・事業税:年所得が2,500万円超または年収入金額が2億円超

法人税等の税率は、次のようになります。

・法人税率:23.20%
・地方法人税率:10.30%
・都道府県民税:超過税率10.40% 標準税率7.00%
・事業税(所得割):超過税率7.48% 標準税率7.00%
・特別法人事業税:7.00%×37.00%=2.59%

超過税率を適用した場合の実効税率の計算方法は、次の通りです。

{法人税率23.20%×(1+地方法人税率10.30%+住民税率10.40%)+事業税率7.48%+特別法人事業税率2.59%}÷(1+事業税率7.48%+特別法人事業税率2.59%)

=実効税率34.59%

標準税率を適用した場合の実効税率の計算方法は、次の通りです。

{法人税率23.20%×(1+地方法人税率10.30%+住民税率7.00%)+事業税率7.00%+特別法人事業税率2.59%}÷(1+事業税率7.00%+特別法人事業税率2.59%)

=実効税率33.58% 

実効税率と表面税率の違い

法人税計算上の所得はその事業年度の益金から損金を控除して求めるものであり、会計上の利益(=収益-費用)と異なります。

「益金の算入・不算入」「損金の算入・不算入」は法令によって細かく規定されており、会計上の利益と税務上の利益は一致しないのが一般的です。実効税率の計算に必要な法人税等の中にも、損金に算入される税金とされない税金があります。

法人税 損金算入されない
地方法人税 損金算入されない
住民税 損金算入されない
事業税 損金算入される
特別法人事業税 損金算入される

表面税率と実効税率の不一致は、法人税等のうち事業税と特別法人事業税が損金に算入されるためです。例えば、利益額1億円の東京23区における外形標準課税適用法人を例にした場合、法人税等の計算フローは次のようになります。

利益額1億円-(事業税113万7,000円+特別法人事業税250万5,000円)=9,635万8,000円
法人税:9,635万8,000円×23.20%=2,235万5,000円
地方法人税:9,635万8,000円×23.20%×10.3%=230万3,000円
住民税:9,635万8,000円×23.20%×10.4%=232万5,000円
事業税:9,635万8,000円×1.18%=113万7,000円
特別法人事業税:9,635万8,000円×2.6%=250万5,000円

法人税等の合計額=3,062万5,000円

法人税等の税率を乗じる額が、事業税・特別法人事業税を控除した後の金額であることに注目しましょう。この仕組みによって、税率の単純合計である表面税率との違いが生じます。

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法人に対して課税される税金は5種類

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法人税の実効税率は、法人税および地方法人税、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税の税率を使って求めます。しかし、「これらの税金がどのようなものなのか分からない」という方もいるのではないでしょうか。そこでこの項目では、上記5種類の税金の基礎を解説します。

1.法人税

法人税とは、企業などの法人に対して課される国税です。法人税の納付が義務づけられる法人かどうかは基本的に「利益の有無」で判断され、公共の目的を持って運営されている公共団体などには課税されません。

法人税の税率は、法人の種類や資本金、年間の所得によって変化します。法人税の最高税率は23.20%です。中小法人(資本金1億円以下)へは法人税率の軽減措置が講じられており、所得800万円以下の部分には税率15%(租税特別措置)が適用されます。

2.地方法人税

「地方」法人税という名称ではありますが、国税であり法人税と合わせて課税されます。地方財政のアンバランスを是正する目的で、平成26年度税制改正によって創設されました。

地方法人税の税額は、課税標準法人税額に所定の税率を乗じることで計算します。なお、令和元年10月1日以後に開始する課税事業年度より、税率が4.4%から10.3%に引き上げられました。

3.法人住民税

法人住民税は、法人の事業所がある地方自治体に納付する地方税です。地域社会の各種費用を負担するために、個人に対し住民税が課されるのと同様に法人にも住民税が課されます。

法人税額に税率を乗じて計算する「法人税割」と、資本金などの額に応じて一定額が課税される「均等割」の2つで構成されます。赤字で法人税がかからなかった場合でも、住民税の均等割は課税される点に注意しましょう。

4.法人事業税

法人事業税は、法人が行う事業に対し課される地方税です。法人が事業活動を行うに当たって利用する地方公共団体のさまざまな行政サービスに対し、必要な経費を支払うために課税されます。納付先は、事務所などが所在する都道府県です。

資本金1億円超の普通法人には、付加価値額に対応する「付加価値割」、資本金等の額に対応する「資本割」、所得に対応する「所得割」と呼ばれる3つの税率を合計した税率で課税されます。資本金1億円以下の普通法人等に対して課税されるのは、「所得割」のみです。

5.特別法人事業税

特別法人事業税は、令和元年度税制改正により新しく創設された税金です。法人事業税の一部を「特別法人事業税」として分離し、これを各都道府県に分配することで、地方による税収入の偏りを正す役割があります。適用されるのは、令和元年10月1日以後に開始する事業年度の申告からです。

特別法人事業税の計算は、法人事業税の所得割額または収入割額を基準にして行われます。

法人税実効税率の推移と国際比較

法人税改革が進められる中、法人税実効税率は平成27年度改正から引き下げられています。

年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成30年度
法人税実効税率 34.62% 32.11% 29.97% 29.74%

また法人税率の引き下げは近年の世界的な傾向であり、日本に限りません。経済協力開発機構(OECD)によると、2000年と2018年の法定法人税率を比較した場合、94カ国中76カ国において税率が引き下げられています。

2021年1月現在における各国の法人税実効税率は、次表の通りです。多くの先進国において、法人税実効税率が30%未満であることが分かります。

国名 日本 ドイツ フランス アメリカ カナダ イタリア イギリス
法人税実効税率 29.74% 29.93% 26.50% 27.98% 26.50% 24.00% 19.00%

損をしない法人税申告ならネイチャーグループへ

法人税の実効税率の計算は複雑であり、多くの専門知識が必要です。誤った申告をした場合には、過少申告加算税などのペナルティを科される可能性があります。損をしない法人税申告のためには、税理士に相談することがおすすめです。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)では、累計1万件以上の実績を裏付けとするノウハウを生かしたご提案ができます。国内外で経験を積んだプロフェッショナルが多数在籍しておりますので、お客様ひとりひとりに合ったアドバイスが可能です。お気軽にお問い合わせください。

まとめ

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実効税率とは、所得に対する実際の税負担率を表すものです。法人税、地方法人税、住民税、事業税、特別法人事業税の税率によって、次のように計算します。

・実効税率={法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+特別法人事業税率}÷(1+事業税率+特別法人事業税率)

このように、法人税にまつわる正しい処理には専門知識が必要です。申告に不安を感じている場合は、ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)がお力になれます。

専用フォームよりお気軽にご相談ください。税務コンサルティングだけでなく、投資コンサルティングも承っています。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。 培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。 現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。
英国国立オックスフォード大学ELP修了。東京大学EMP修了予定。
また、Mastercard®最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDのオフィシャルアンバサダーに就任。

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