2022年3月16日
2023年4月4日税務
法人税の金額シミュレーション!計算方法と節税方法も紹介します

法人税は、事業活動で得た儲けに対して発生する税金です。法人税がいくらになるのか、大体の金額は計算方法さえ知っていればどなたでもシミュレーションできます。
そこで今回は、法人税をシミュレーションする計算方法を紹介します。法人税の軽減措置や節税方法も併せて解説するので、自社の状況に応じて適宜導入してみてください。
目次
法人税の計算式とポイント
法人に黒字所得がある場合には法人税が発生します。収益が多い事業年度は、事前におおまかな税額を把握しておきたい場合もあるでしょう。ここでは、法人税の計算式と、計算時の重要なポイントを紹介します。
法人税の計算式
法人税の計算式はシンプルです。「課税所得×税率=法人税」で計算できます。この計算で使用する「所得」は、「利益」とは異なるため注意しましょう。
また、課税所得を出す際には税務調整が必須です。税務調整とは公平な課税を目的として導入するもので、益金や損金の内容を確認しながら慎重に進める必要があります。
利益ではなく所得を確認
法人税は、利益ではなく所得で計算するものです。「利益×税率」では正しい税額を確認できないため気を付けましょう。儲けという意味では同じもののように感じますが、「利益は会計」「所得は税務」と使い分けなければいけません。それぞれの計算式は以下の通りです。
・収益-費用=利益
・益金-損金=所得
「収益」と「益金」も、「費用」と「損金」も、似て非なるものです。そのため、利益と所得の金額は必ずしも一致するとは限りません。課税所得を割り出す際には会計上の利益を元に、益金や損金の加算・減算調整を加える必要があります。
法人税額をシミュレーション!計算方法
法人税の計算方法が分かれば、納める税金の多寡をシミュレーションできます。法人税を計算する際の手順は意外と少なく、大きく分けるとたったの3ステップです。益金や損金といった税務調整の内容も含めて、詳しい計算方法を紹介します。
利益を割り出す
利益がいくらになるのかを計算するのが最初の手順です。会計上の「利益」は、課税所得を割り出す際に使用します。利益を確認する際の計算式はシンプルで、「収益-費用」です。
収益には「営業利益」「営業外収益」「特別収益」があり、売上や配当金といった法人の総収入を意味します。また費用とは、事業活動を営む上で必要となる支出のことです。総収入から支出を差し引いて導き出した「会計上の利益」を元に、税務調整を加えて課税所得を計算します。
課税所得を求める
会計上の利益を元に、課税所得を割り出しましょう。計算式は「会計上の利益+加算調整-減算調整=課税所得」です。加算調整・減算調整の具体例は以下の通りです。
加算調整 | ・益金算入:債券や株式投資の譲渡益、サービス提供に関わる収益 など ・損金不算入:過大な役員報酬や寄付金、減価償却費の過大分租税公課 など |
---|---|
減算調整 | ・益金不算入:受取や税金の還付金、保有資産の評価益 など ・損金算入:販売費や一般管理費、商品の原価、損失 など |
法人税率をかける
税額は課税所得×法人税率で求められます。例えば、資本金1億円以上の普通法人で課税所得が3,000万円だった場合、法人税は3,000万円×23.2%=696万円です。
税率は法人の種類や資本金額、条件などによって異なります。詳しい条件は国税庁のホームページを確認しましょう。
(参考: 『No.5759 法人税の税率』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm)
法人税の税率表
法人税は比例税率です。課税標準である所得の大小に関係なく、一律の税率が適用されます。ただし、どの法人にも一律の税率が課せられるわけではありません。法人の種類や資本金額によって税率が異なるため注意しましょう。ここでは、条件ごとに分けて税率を紹介します。
普通法人の税率
普通法人の法人税率は、資本金が1億円を超えるか否かで異なります。
資本金 | 所得金額 | 法人税率 |
---|---|---|
1億円超の普通法人 | – | 23.2% |
1億円以下の普通法人など | 年800万円超の部分 | 23.2% |
年800万円以下の部分 | ・適用除外事業者:19% ・それ以外:15% |
資本金が1億円以下で所得が800万円以下の場合は、適用除外事業者(過去3年間の平均所得金額が15億円を超える中小企業者)とそれ以外とで、さらに税率が変わります。例えば、適用除外事業者で所得700万円の場合の税額は133万円ですが、適用除外事業者でなければ105万円となります。
普通法人以外の税率
普通法人以外の法人は、税率がやや低めに抑えられているのが特徴です。また、法人の種類や条件によって適用する税率が異なります。
対象 | 所得金額 | 法人税率 |
---|---|---|
協同組合等 | 年800万円超の部分 | 19%(20%) |
年800万円以下の部分 | 15%(16%) | |
特定の医療法人 | 年800万円超の部分 | 19%(20%) |
年800万円以下の部分 | ・適用除外事業者:19%(20%) ・それ以外:15%(16%) |
|
公益法人等 | 年800万円超の部分 | ・公益社団法人、公益財団法人、非営利型法人、公益法人等と見なされているもの:23.2% ・上記以外の公益法人等:19% |
年800万円以下の部分 | 15% | |
人格のない社団等 | 年800万円超の部分 | 23.2% |
年800万円以下の部分 | 15% |
※()は協同組合等または特定の医療法人が連結親法人である場合の税率
どの税率を適用するか分からない場合や、詳細・適用条件などが気になる方は、国税庁のホームページから確認しましょう。
(参考: 『国税庁 法人税の税率』/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm)
中小企業の軽減措置と適用条件
中小企業には法人税の軽減措置があります。これは、資本金が1億円以下の普通法人で年間の所得が800万円以下の場合に、税率が15~19%になる制度です。法人税軽減措置の適用条件の一例は次の通りです。
・資本金額が1億円以下であること
・資本、もしくは出資を有していないこと
・資本金が5億円以上の法人との間に、完全支配関係がないこと
対象に該当しない法人は、軽減措置なしの税率が適用されます。ただし、制度内容は随時見直される可能性もあるため、最新情報は国税庁のホームページから確認してみてください。
法人税の課税対象になる法人とならない法人
法人の全てに法人税がかかるわけではありません。あくまで、営利目的で事業を営み、利益が発生している法人にのみ課されます。ここでは、法人税が課される法人とそうでない法人との違いを具体的に解説します。
法人税が課税される法人
法人税の課税対象となるのは、事業を営むことで金銭的な利益を得ている法人です。基本的には普通法人と協同組合等に大別されます。法人の一例は以下の通りです。
普通法人 | 株式会社、有限会社、医療法人、相互会社、労働組合、管理組合、企業組合、合資会社、日本銀行 など |
---|---|
協同組合等 | 生活協同組合、労働者協同組合、農業協同組合、漁業協同組合、信用金庫 など |
協同組合は軽減税率が適用され、税負担が少なくなっています。普通法人も資本金が1億円以下の場合は同様です。
法人税が課税されない法人
利益を得ることを目的として事業活動をしていない法人は、原則非課税対象となります。ただし、公益法人や人格のない団体は、収益事業で得た利益に限り法人税が課されるため注意が必要です。
公共法人 | 地方公共団体、国立大学法人、国民金融公庫、日本年金機構、金融公庫、日本道路公団、地方独立行政法人 など |
---|---|
公益法人等 | 社団法人、財団法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人 など |
人格のない社団 | 実行委員会、同窓会、管理組合、PTA など |
法人税を減らしたい場合の節税方法
法人税は比例税率のため、所得が増えれば納める税額も大きくなる仕組みです。しかし、適切な範囲で節税対策を行えば税負担は軽減できます。法人税を減らすための代表的なポイントを3つ紹介します。
損金を増やす
税法上の費用である損金を増やせば、所得を減額でき、節税につながります。損金を増やす際の具体的な方法を下表にまとめました。
損金を増やす方法 | 補足説明 |
---|---|
赤字の繰り越し | 青色申告の承認を受けている場合には、黒字所得から赤字所得の控除が可能 |
社員旅行費を損金として計上 | 旅行日時や費用、出掛けた地域などを記録しておくこと |
生命保険料を損金処理 | 生命保険や中小企業倒産防止共済の保険料・掛金は損金として計上可能 |
決算賞与を未払い費用に | 所定の要件を満たした場合、決算賞与を未払い費用として計上可能 |
在庫は廃棄処分へ | 商品の在庫を廃棄処分した際には、廃棄した分を損金として計上可能 |
益金を減らす
益金を減らすのも方法のひとつです。売上を計上するタイミングをずらせば、該当年度の収益を減額できます。タイミングは以下の3つです。
・出荷基準:商品を出荷したとき
・納品基準:商品を納品したとき
・検収基準:取引先が商品を検収したとき
「検収基準」に合わせれば、取引先に商品が届き無事検収が終了するまで、売上を計上するタイミングを先延ばしにできます。出荷や納品がなされていても、検収前であればその商品は売上にならないため、原則益金にも含まれません。
特別控除を活用する
所得を減らすのではなく、税額そのものを控除する「特別控除」も選択肢のひとつです。法人税の節税制度は主に、「雇用促進税制」と「中小企業投資促進税制」の2種類です。以下の対象条件に当てはまる場合には特別控除を利用しましょう。
雇用促進税制 | 中小企業投資促進税制 | |
---|---|---|
主な条件 | 特定業務施設の雇用者を増加させた場合 | 機械などの対象設備を取得または制作した場合 |
対象 | 本社機能の拡充・移転を実施する事業主 | ・資本金額1億円以下の法人である中小企業者 ・従業員数1,000人以下の個人事業主 ・控除:個人事業主・資本金3,000万円以下の法人 |
控除額・内容 | 控除額:最大90万円(ひとりあたり) | 取得金額の30%償却または7%の税額控除 |
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まとめ
法人税の計算式は「課税所得×税率」です。税率や課税対象となる法人は、法人の種類や条件ごとに異なります。また、法人税は比例税率であるため、所得が増えるほど税額も増す点に注意しましょう。手元に少しでも多く資産を残すためには、具体的な税額をシミュレーションしながら、税金対策を施すことが大切です。
とはいえ、法人税の計算は専門知識も要します。疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ
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