2022年6月24日2024年4月15日相続・事業承継税務

相続税対策14選|おすすめの節税法は?損しないために知っておきたいこと

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「相続税対策として何をすればよいか分からない」「おすすめの相続税対策が知りたい」という方もいるのではないでしょうか。相続税の納付額は事前に対策することで減らせる可能性があります。相続税対策は、実際に相続が発生するまでの期間が長いほど効果的です。できるだけ早い時期から取り組むことをおすすめします。 

そこでこの記事では、おすすめの相続税対策を14種類紹介します。【基本編】【不動産編】【生前贈与編】【その他】に分けて紹介するため、自身の状況に合った相続税対策を選択できるでしょう。

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おすすめの相続税対策【基本編】

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相続税は、基礎控除の「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えなければ課税されません。超えた部分に関しては相続税がかかりますが、相続税がかからない財産や税額控除など、相続税対策として利用できる制度があります。ここでは、主な非課税枠や非課税財産、税額控除について解説します。

生命保険は「500万円×法定相続人の数」まで非課税

被相続人の死亡によって受け取った生命保険金や損害保険金は、相続税の課税対象です。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは相続税がかかりません。

死亡保険金は、被保険者や契約者、受取人によって課される税金の種類が異なります。所得税や贈与税に関しては、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠は利用できない点に注意しましょう。

被保険者 保険料の負担者
(契約者)
受取人 税金の種類
被相続人 被相続人 配偶者 相続税
被相続人 配偶者 配偶者 所得税
被相続人 配偶者 贈与税

お墓や仏壇など相続税がかからない財産がある

お墓や仏壇といった祭祀財産は、相続税の非課税財産です。生前に買っておくことで相続税対策になるでしょう。

被相続人が残した借金のような債務は遺産総額から差し引けますが、非課税財産の債務は債務控除として認められません。例えば、相続発生後に祭祀財産を購入した場合や購入したものの代金を支払っていない場合です。また、骨董(こっとう)品のようなあまりにも高価な財産は、非課税財産として認められない場合があります。

葬式費用は遺産総額から差し引ける

相続人が負担した葬式費用は、課税対象となる遺産総額から差し引けます。葬式費用として差し引ける費用の一例は以下の通りです。

・死亡診断書の発行費用
・遺体の搬送費用
・通夜、告別式にかかった費用
・通夜、告別式における飲食代
・葬儀場までの交通費
・受付や運転手への心付け
・火葬料、埋葬料
・納骨費用
・お寺に支払うお布施、読経料、戒名料

なお、香典返しや初七日といった法事の費用、墓地や仏壇の購入費用は、葬式費用には該当しません。

相続税の税額控除を適用する

相続税の税額控除を適用すれば、相続税額から一定額を控除できます。主な税額控除と適用要件は以下の通りです。

・配偶者の税額軽減
被相続人の配偶者は、「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。なお、相続税の申告期限までに遺産分割がされていない場合は適用の対象外です。

・未成年者控除
相続人が20歳未満の場合、相続税額から一定額を差し引けます。控除額は「(20歳-相続発生時の年齢)×10万円」です(令和4年4月1日以降に開始した相続では、対象年齢が18歳未満に引き下げ)。

・障害者控除
相続人が85歳未満の障害者の場合、相続税額から一定額を差し引けます。控除額は「(85歳-相続発生時の年齢)×10万円」、特別障害者の場合は「(85歳-相続発生時の年齢)×20万円」です。

・相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)
相続が連続して発生した場合に適用できる税額控除です。前の相続(一次相続)から次の相続(二次相続)までの経過期間が10年以内の場合に適用できます。

・贈与税額控除
3年以内に贈与した財産は相続財産として扱われるため、税金を二重に納めることを防ぐ目的で相続税額から贈与財産に課された贈与税を控除することが可能です。

おすすめの相続税対策【不動産編】

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相続税額は「相続税評価額」と呼ばれる財産の価額に基づいて計算します。したがって、不動産の相続税対策では相続税評価額が下がることがポイントです。ここでは、不動産の相続税評価額を引き下げる効果のある制度や手法について解説します。

「小規模宅地等の特例」で評価額を最大80%減額できる

被相続人が亡くなる直前に被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族が事業や居住のために利用していた宅地等は、一定の面積まで評価額を最大80%減額できます。土地の用途により、上限面積や減額割合が異なる点に注意しましょう。

種類 使用例 上限面積 減額割合
特定居住用宅地等 戸建てや分譲マンションなどの自宅 330平方メートル 80%
貸付事業用宅地等 賃貸アパートやマンションなど事業で不動産貸付けを行っている宅地 200平方メートル 50%
特定事業用宅地等 個人事務所など不動産貸付け以外の事業で使用している宅地 400平方メートル 80%
特定同族会社事業用宅地等 被相続人が経営する企業に貸していた宅地 400平方メートル 80%

「地積規模の大きな宅地の評価」で広い土地ほど評価額が下がる

三大都市圏は500平方メートル以上、三大都市圏以外の地域は1,000平方メートル以上の地積の宅地は、評価額を20%以上減額できる場合があります。評価額の計算式は次の通りです。

評価額=路線価×規模格差補正率×地積(平方メートル)

土地が不整形であったり間口に対する奥行きが広かったりする場合、不整形地補正率や奥行価格補正率といった補正率を乗じましょう。また、規模格差補正率は、土地の所在地や地積の規模によって変わります。規模格差補正率の計算式は以下の通りです。

規模格差補正率=(A×B+C)÷A×0.8

Aは宅地の地積です。BとCには、宅地の所在地に応じて次の数値を入れます。

・三大都市圏に所在する宅地

地積 B C
500平方メートル以上
1,000平方メートル未満
0.95 25
1,000平方メートル以上
3,000平方メートル未満
0.90 75
3,000平方メートル以上
5,000平方メートル未満
0.85 225
5,000平方メートル以上 0.80 475


・三大都市圏以外の地域に所在する宅地

地積 B C
1,000平方メートル以上
3,000平方メートル未満
0.90 100
3,000平方メートル以上
5,000平方メートル未満
0.85 250
5,000平方メートル以上 0.80 500


不動産の相続税評価額を計算するには、現地での測量が必要な場合もあります。相続財産に土地や建物がある場合、税理士に申告を依頼するのもひとつの方法です。

賃貸マンションやアパートを購入する

賃貸マンションやアパートの購入は、有効な相続税対策といえます。土地や建物を人に貸し付けると、相続税評価額を大きく減額できるためです。土地に建てた家屋を第三者に貸し付けている「貸家建付地」の場合、自用地としての評価額から一定割合で評価額が減額されます。

貸家建付地の価額=自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

建物は固定資産税評価額に基づいて相続税評価額を計算しますが、固定資産評価額は実際にかかった建築費用の60%~70%程度となるため、自分で利用する建物でも現金で保有するより節税効果があります。賃貸であれば、さらに30%の評価減です。賃貸マンションの建築に関連する借入金も、債務控除として遺産総額から差し引けます。

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おすすめの相続税対策【生前贈与編】

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将来、相続人になる子や孫へ生前贈与することも相続税対策になります。贈与税や相続税がどの程度かかるかを検討しながら計画的に贈与しましょう。ここでは、暦年贈与や相続時精算課税の他、贈与税の非課税制度を紹介します。

毎年110万円まで贈与税は非課税

暦年贈与の場合、1年当たり基礎控除額の110万円までの贈与は、贈与税が非課税です。基礎控除額の上限は贈与を受ける人ごとに設けられています。1人当たり110万円以下の贈与であれば贈与する側に上限はありません。

例えば、孫が祖父と祖母からそれぞれ100万円ずつ贈与を受けた場合、110万円を超えた90万円が贈与税の課税対象です。一方、祖父が孫4人に100万円ずつを贈与した場合、400万円全額が非課税になります。

「相続時精算課税制度」の利用は慎重に

相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母が20歳以上の子や孫に財産を贈与する場合、2,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。2,500万円を超えた部分に関しては、一律20%の税率で贈与税が課税されます。

ただし、この制度で贈与した財産は贈与者が亡くなったときに相続財産の課税対象に加算されるため、贈与税の代わりに相続税が課される点に注意しましょう。「暦年贈与と併用できない」「小規模宅地等の特例が使えない」といったデメリットもあるため、慎重に検討することをおすすめします。

1,500万円まで非課税になる「教育資金贈与」

30歳未満の子や孫に対して父母や祖父母といった直系尊属が教育資金を贈与するときに、1,500万円まで非課税となる制度です。贈与した資金の使途は教育に限定されます。習い事のような「学校等以外」に支払われる費用については、非課税枠1,500万円のうち500万円までしか利用できません。

この制度を利用するには、金融機関に一度資金を預ける必要があります。引き出し時も領収書をその都度提出しなければならないため、手続きの煩雑さがデメリットです。

1,000万円まで非課税になる「結婚・子育て資金贈与」

子や孫に対して結婚・出産や子育ての資金として1,000万円まで非課税で贈与できます。20歳以上50歳未満(令和4年4月1日以後の贈与は18歳以上50歳未満)の人が、父母や祖父母といった直系尊属から受けた贈与が対象です。

挙式費用や転居費用のような結婚に際して支払う費用は、300万円が上限である点に注意しましょう。贈与した資金は金融機関に開設した「結婚・子育て資金口座」で管理され、資金を引き出す際は領収書を提出しなければなりません。

「おしどり贈与」で夫婦間の居住用不動産の贈与が非課税

おしどり贈与とは「贈与税の配偶者控除」を指し、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭が贈与された場合、贈与税の基礎控除額110万円に加え最高2,000万円まで控除できる制度です。

贈与を受けた人は翌年3月15日までに贈与された不動産(または贈与資金で購入した不動産)に居住することが要件のひとつで、同じ配偶者からの贈与は1回に限られます。制度の適用によって税額がゼロ円になっても、申告が必要である点に注意しましょう。

おすすめの相続税対策【その他】

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相続税対策として取り上げられることの多い方法として不動産に関する制度や生前贈与が挙げられますが、他にも相続税を抑えられる方法があります。養子縁組や寄付が一例です。ここでは、養子縁組と寄付による相続税対策を紹介します。

養子縁組をする

相続税では、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除や「500万円×法定相続人の数」が非課税になる死亡保険金など、法定相続人の数が多いほど非課税枠も増えます。養子縁組は、法定相続人を増やすことで非課税枠を増やし、相続税額を減らす手法です。

なお、法定相続人の数は、被相続人に実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで含めます。

財産を寄付する

相続や遺贈によって受け取った資産を寄付した場合、その資産を相続税の対象外とする特例があります。特例の適用要件は次の3つです。

・寄付した財産が、相続または遺贈によって受け取った財産であること
・相続税申告書の提出期限までに寄付すること
・寄付先が「特定の公益法人」であること

「特定の公益法人」とは、国や地方公共団体、教育や科学の振興に貢献している公益目的の事業を行う特定の法人を指します。

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相続税対策に取り組む上で注意したいポイント

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相続税対策にはいくつか注意点があります。制度を正しく適用しないと、贈与税の対象になったり生前贈与と認められなかったりする場合があり、注意が必要です。ここでは、相続税対策に取り組む上で注意したい3つのポイントを紹介します。

相続開始前3年以内の贈与は相続財産として扱われる

相続開始前3年以内に贈与した財産は相続税の対象となり、贈与税が課されていなくても相続財産に加算されます。基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与された財産も、相続税の課税対象となる点に注意しましょう。

ただし、教育資金贈与や結婚・子育て資金贈与、おしどり贈与といった特例を利用した贈与は、相続開始前3年以内でも相続財産には加算されません。

名義預金は相続財産として扱われる

被相続人が資金を出しており、被相続人の財産と認められる場合、被相続人名義の財産でなくても相続税の課税対象となります。贈与には、贈る側と受け取る側の双方の同意が必要です。親は贈与のつもりでも、子に知らせずに名義預金していた場合、親の財産として相続時に相続税が課されます。

名義預金と見なされないためには「贈与契約書を作る」「被相続人の印鑑と、相続人名義の預金の届出印は別のものを使う」「届出印や通帳、キャッシュカードは名義人が管理する」といった対策を取るとよいでしょう。

相続税対策はできるだけ早い段階で行う

暦年贈与を利用した生前贈与や賃貸不動産による相続税対策は、始めてから実際に相続が発生するまでの間に効果が蓄積します。できるだけ早く取り組むことで、より相続税対策の効果は高まるでしょう。

令和4年度税制改正大綱で、「相続税と贈与税の一体化」の方針が示されました。具体的な改正が決定したわけではありませんが、今後、暦年贈与の非課税枠が利用できなくなることも考えられます。このような観点からも、贈与制度が利用できる今のうちから相続税対策に取り組むとよいでしょう。

相続税対策はネイチャーグループにお任せください

相続税対策はできるだけ早い時期に計画的に取り組むことが重要です。とはいえ、多くの専門知識が必要とされるため、何から始めたらよいか迷う方もいるでしょう。相続税対策は税理士へ依頼するのもひとつの方法です。

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まとめ

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相続税対策としておすすめできる方法はさまざまです。相続税の非課税財産や税額控除、不動産を利用した対策の他、生前贈与も有効といえるでしょう。贈与税や相続税がどの程度かかるのかを検討しながら、慎重に対策することをおすすめします。

相続税や贈与税は複雑な制度で、なじみのない方が相続税対策をすることは簡単ではないでしょう。どのような対策から手を付けたらよいか分からないとお悩みの方は、ぜひネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)にご相談ください。

相続税等に関する法律関係のご相談については法律相談ナビで詳しくご紹介されています。合わせてご確認ください。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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