2018年11月10日国際資産税
マイナンバー制度とCRSにより個人資産の正確な把握へ

平成28年にマイナンバー制度、平成30年にはCRS(共通報告基準)が策定され、国による個人資産の把握がより強固になってきています。
これらの制度はどのような背景のもと導入されたのでしょうか?
記事では、導入の背景・概要をご説明します。
国内外を問わず、国が個人資産を把握できる制度
それでは、マイナンバー制度とCRS(共通報告基準 ※以下CRS)の導入背景と概要について、以下に解説していきます。
マイナンバー制度の導入背景とその概要
皆さんにも馴染み深いマイナンバー制度は、2016年(平成28年)より運用が開始されました。
以前までは、行政が福祉サービスや社会保険料の減免対象である個人かどうかを確認する際、情報の照合に各機関をまたぐ必要があったため、多大な時間や労力がかかっていました。
この問題を解決し、行政の効率化ならびに国民の利便性向上を実現するために、マイナンバー制度は導入されたのです。
マイナンバーは、国内に住民票がある全ての人を対象に、12桁の個人番号が割り振られています。
国税局はマイナンバーを通じて、個人の金融機関等の個人情報を効率的に収集・確認することができるようになりました。
よって、導入以前と比べて、個人の国内収入や資産または家族関係の正確な把握が実現したのです。
CRSの導入背景とその概要
国内の個人収入・資産把握を実現したマイナンバー制度に対し、国外の個人収入・資産把握に向け導入されたのがCRSです。
CRSは外国の金融機関を利用した脱税および租税回避を防止するため、経済協力開発機構(OECD)が策定しました。
概要は、各国の非居住者の口座情報を協定締結国間で自動的に交換するというもので、日本を含む98の国と地域が参加。
日本では、2018年(平成30年)9月頃、最初の自動的情報交換を開始したと報告されています。※1
日本のCRS運用開始により、海外の口座名義・住所・残高・利子・配当額を国税局が正確に把握できるようになったため、より一層の課税強化が進むことと思われます。
まとめ
記事では簡潔にマイナンバー制度とCRSについて解説いたしました。
今後の動きとしては、国による個人収入・資産の正確な把握のため、より制度設計が進んでいくと思われます。
納税手続きが必要な方は、注意深く、国の動きをチェックする必要がありそうです。
ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー国際資産税、株式会社ネイチャーFAS)は、国際案件の圧倒的な実績と豊富な言語対応でお客様のお悩みやニーズに合ったきめ細やかなサービスを提供できるよう努めております。
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芦田 敏之
【監修者プロフィール】 税理士法人 ネイチャー国際資産税代表 国内外の資産税に精通しており、富裕層の資産対策を中心にワールドワイドかつ多数のコンサルティング実績を持ち、世界全体で約100の金融機関の間に人脈があります。資産規模100億円超えのクライアントに数多く対応してきたことから「日本一富裕層を知る税理士」というキャッチコピーで話題に。近年は働きやすい職場環境の普及活動にも意欲を見せており、これまでテレビ番組や日本経済新聞、Forbes JAPANなどさまざまなメディアにも登場しています。