2023年4月14日2024年1月31日税務

法人税の仕訳は複雑?税金の種類や注意点を押さえて正しい納税を!

法人が納める税金は、所得に応じて課せられる法人税(法人所得税)や法人住民税、法人事業税などさまざまです。これらの税金を納付したり、還付を受け取ったりするために欠かせないのが、正しい仕訳です。法人は中間納付があるなど、複雑な部分も多く、「仕訳方法がよく分からない」という場合も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、法人税の仕訳方法について、具体的に解説します。税金の種類や注意点など、押さえたいポイントもいくつか紹介しているので、参考にしてみてください。

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法人税と呼ばれる3つの税金

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法人が納める税金として代表的なのが、法人税、法人事業税、法人住民税の3つです。ここでは、それぞれの概要や特徴、税額の計算方法などを解説します。また損金算入できる税金についても触れています。

法人税(法人所得税)

法人税(法人所得税)とは、法人の所得にかかる税金のことです。税額は課税所得金額に税率を掛けて計算します。税率は法人の資本金や所得金額によって変わります。資本金1億円を超える場合は23.2%、1億円以下の普通法人または一般社団法人等・人格のない社団等は、年800万円以下の金額部分について15%、それ以外の部分は23.2%です。

法人事業税

法人事業税とは、事務所や事業所を設けている都道府県から課される地方税です。法人事業税は基本的に、道路や消防、警察など、法人が事業を行う際に利用する公共施設やサービスの経費に使われています。

納めた事業税は、法人税や法人住民税とは異なり、損金算入が可能です。また、法人の所得が赤字であれば、納付する必要はありません。

法人住民税

法人住民税とは、事務所や事業所を設けている都道府県、もしくは市区町村から課される税金です。法人住民税は、法人税割と均等割の2種類で構成されています。法人税割は、法人税を課税標準として計算し、均等割は法人の資本金や従業員数に応じて定められた金額が課税されます。

基本的に、道府県民税と市区町村税に分かれていますが、東京23区だけに事業所のある法人の場合は都民税のみです。

法人税を納める必要があるケース

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法人税は、全ての法人に対して課せられるわけではありません。法人には、株式会社をはじめ、協同組合や学校法人など、さまざまな種類が存在します。ここでは、法人税の納税対象となる法人をピックアップし、法人税の対象所得についても詳しく解説します。

納税の対象法人である

法人税は、全ての法人に課せられるわけではありません。以下に、法人税が課される法人の種類とそれ以外の法人の種類を一部まとめます。

法人税が課される法人 法人税が課されない法人
株式会社
有限会社
合同会社
合名会社
合資会社
医療法人
相互会社
協同組合 など
一般社団法人
NPO法人
学校法人 など

株式会社や有限会社などの普通法人には、原則として全ての所得に対して法人税が課されます。ただし、期末資本金が1億円以下の中小企業法人等の場合は、軽減税率が適用されて、税負担が軽減されます。

納税の対象所得がある

法人税の対象となる所得は、利益から損金を差し引いた金額で、計算式は以下の通りです。

所得=益金-損金

益金は、商品やサービスの売上収入、土地や建物の売却収入などが挙げられます。損金は、売上原価や販売費用などです。益金・損金は法人税法上のものであるため、会計上の収益や経費とは異なります。金額が必ずしも一致するとは限らず、収益から経費を引いた利益に、法人税法の規定に基づいて税務調整したものが、課税所得です。

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法人税等の仕訳方法と勘定科目

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法人税や法人事業税など、法人税等の仕訳方法は、タイミングによって異なります。例えば中間申告時に納付した法人税等は「仮払法人税等」として処理する決まりです。ここでは、中間申告時、決算時、確定申告時の3パターンに分けて、仕訳方法について紹介します。

中間申告・納付のとき

法人は会計処理の負担を軽減するために、確定申告より前のタイミングで中間申告と中間納付をする必要があります。前年度実績のある場合は、前年度の確定納税額の半分程度を納付、または仮決算による納付も可能です。

納税額が確定していない状態での申告と納税になるため、仕訳は、「仮払法人税等」を使います。法人税等を当座預金から30万円中間納付した際の仕訳例は、以下の通りです。

借方 貸方
仮払法人税等 300,000 当座預金 300,000

また、貸借対照表では、中間納付での「仮払法人税等」は資産に分類されます。納付しているものの、金額が確定していないためです。貸方の「当座預金」も資産に該当するため、資産、負債、純資産の金額に影響はありません。

決算のとき

決算時には、納税額が確定するため、当期の法人税等額の計上と、見越計上による会計処理が必要です。確定年税額が150万円の場合、仕訳方法は以下のようになります。

借方 貸方
法人税等 1,000,000 仮払法人税等 300,000
    未払法人税等 700,000

中間申告・納付時に30万円を支払っている場合、残りの70万円を未払法人税等として仕訳します(外形標準を考慮しない場合)。未払法人税等は、当期の負債として見越計上しましょう。また赤字等によって仮払法人税等の金額が法人税等を超えている場合は、還付金が発生するため、差額を「未収金」として借方に計上します。

法人税は、事業年度末である決算日から2か月以内に申告し、納税が必要です。

確定申告のとき

確定申告の際は、中間申告で計上している仮払法人税等の金額を、確定した納税額から差し引き、決済時に計上した未払法人税等の金額を資産から納めます。仮払法人税等は、会計処理が済んでいるため、未払法人税等のみ仕訳が必要です。

未払法人税等分の金額を当座預金から計上し、負債を消去する必要があります。未払法人税等70万円を、当座預金から支払った場合の仕訳は、以下の通りです。

借方 貸方
未払法人税等 700,000 当座預金 700,000

(※未払法人税等の過大計上などは考慮していません)

上記の仕訳によって、仮払法人税等と未払法人税等の処理は完了します。

法人税以外の税金における仕訳方法

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事業所が納める税金は、法人税や法人事業税だけではありません。例えば事業所を構えている場所の固定資産税や、社用車の自動車税なども納める必要があります。この他、消費税の納付が必要な場合もあります。ここでは、法人税等以外の税金における仕訳方法について解説します。

租税公課の仕訳方法

税金や公共団体に支払う会費などは、「租税公課」として会計処理します。「法人税等」として処理する税金や消費税は、基本的に含まれません。租税公課に含まれる税金は、主に以下の通りです。

・固定資産税や都市計画税
・収入印紙税
・自動車税
・法人事業税の外形標準課税(付加価値割、資本割) など

また租税公課の仕訳方法は、以下のように行います。

〈収入印紙を現金で2万円分購入した場合〉

借方 貸方
租税公課 20,000 現金 20,000

消費税の仕訳方法

消費税は、商品やサービスの消費において課税されます。消費税の負担は、最終的に商品やサービスを購入、利用した人が負担します。そのため事業者は、消費者の負担した消費税から、仕入れにかかった消費税を差し引いた金額を納税する決まりです。

消費税は税込処理と税抜処理で仕訳方法が異なります。どちらの方式を採用するかは、各事業者で決定しても問題ありません。

〈税込処理の場合〉
税込55万円の商品を仕入れ、代金を掛けとした際は、以下のように記載します。

借方 貸方
仕入 550,000 買掛金 550,000


税込88万円で商品が売れて、代金がまだ支払われていない場合には、以下のように記載します。

借方 貸方
売掛金 880,000 売上 880,000

 

〈税抜処理の場合〉
税抜100万円の商品を仕入れて、代金を掛けとした際は、以下のように記載します。

借方 貸方
仕入 1,000,000 買掛金 1,100,000
仮払消費税 100,000    

 

税抜200万円で商品が売れ、支払いが完了していない場合は、以下のように記載します。

借方 貸方
売掛金 2,200,000 売上 2,000,000
    仮受消費税 200,000

また基準期間において課税売上が1,000万円以下の事業者(免税事業者)は、消費税の会計処理が不要です。

源泉徴収税の仕訳方法

源泉徴収税とは、事業者が従業員から預かっている税金(所得税)を指します。徴収した金額は後から事業者が代わりに納める必要があるため、費用処理は行わず預り金として会計処理を行います。源泉徴収税の仕訳方法は、以下の通りです。

〈給料の源泉徴収税を差し引いた金額を普通預金に入金した場合〉

借方 貸方
給料 200,000 預り金(源泉所得税) 3,770
    普通預金 196,230

〈預かった源泉徴収税を納付した場合〉

借方 貸方
預り金(源泉所得税) 3,770 現金 3,770
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法人税を仕訳する際の注意点とポイント

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法人税を仕訳する場合には、期限までに正しく処理することが大切です。例えば、法人税等の中で損金計上できるのは、法人事業税のみと決められています。もし申告にミスや遅れが生じるとペナルティを受ける可能性があるので要注意です。ここでは法人税を仕訳する際の注意点とポイントについて、詳しく解説します。

全てを損金計上できるわけではない

法人の税金には、損金計上できるものと、できないものがあります。法人税、法人事業税、法人住民税の中で損金計上できるのは、法人事業税のみです。法人税や法人住民税、それらに付随する延滞税や加算税は、損金として処理できません。計算や仕訳が間違っていると罰則が発生するリスクもあるため、会計処理を行う際には要注意です。

申告にミスや遅れがあるとペナルティが発生する

確定申告や中間申告の内容にミスがあり、申告や納税に遅れが発生すると、延滞税や過少申告加算税などのペナルティを与えられる恐れがあります。特に、会社を立ち上げたばかりの頃や、経理担当が変わったばかりの頃は、このようなミスが発生しやすくなるでしょう。

また、期ずれのように、その年度に計上されるべき売上や経費が、別の年度に計上されてしまう間違いも発生しやすくなります。法人税の申告の際は、時間に余裕を持って業務に取り掛かる必要があるでしょう。

税務処理に慣れていない場合は専門家に相談を

財務処理に慣れていない場合は、確定申告や中間申告の内容に間違いがないか、専門家に相談して進めることが大切です。税理士は、会計処理の相談だけでなく、節税のアドバイス、申告の代行自体を依頼できる場合もあります。

顧問弁護士を雇い、経理指導などを頻繁に受けている事業所も少なくありません。慣れない会計処理は、税理士に頼ることで、適切かつスピーディーな形で申告・納税を進められます。

法人税申告はお済みですか?税務に関するご相談はネイチャーグループへ

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まとめ

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法人が納付する税金には、法人税をはじめ、法人住民税や法人事業税などが挙げられます。法人には中間申告や納付があるため、個人事業主に比べて会計処理や仕訳方法はやや複雑です。正しい申告が期限までにできなければ、ペナルティを受ける可能性もあります。

財務に関して少しでも不安のある場合は、ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)へご相談ください。精通した情報と豊富な実績をもとに、適切なアドバイスを行います。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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