2023年4月19日2023年11月29日税金対策

オペレーティングリースとは?メリット・デメリットや仕訳方法を解説

オペレーティングリースは、事業用設備などを取得する手段のひとつです。リースを上手に活用すると、節税効果も期待できます。とはいえ、リース契約は仕組みが分かりにくいことが難点です。購入・レンタルといった他の選択肢との違いや会計処理にお悩みの方もいるでしょう。

ここでは、オペレーティングリースの基本やファイナンスリース・購入・レンタルとの違いについて解説します。

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オペレーティングリースとファイナンスリースとの違い

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リースは、リース会社が所有する固定資産を一定期間、賃借する取引です。リース契約を締結した場合、リース料(借りる対価)を貸し手へ支払います。リースには「オペレーティングリース」と「ファイナンスリース」があるため、違いを理解することが大切です。それぞれの特徴を解説します。

オペレーティングリース

オペレーティングリースは、経済的な実態が賃貸借取引に近いリースです。主な特徴として以下2点が挙げられます。

・途中で解約できる
・修理やメンテナンスは、リース会社が対応してくれる
※契約によっては、上記に該当しない場合があります

購入の場合は一般的にキャンセルが認められません。また、修理やメンテナンスにかかる費用は、購入者(固定資産を使用する人)が負担します。一方、オペレーティングリースはリース会社(所有者)から賃借する取引であり、リース期間の終了時は物件を返却します。

オペレーティングリースの対象は、中古市場が確立されている物件です。例えば、フォークリフトやレントゲン装置が挙げられます。その他、オペレーティングリースで取り扱われることの多い固定資産をまとめました。

・工作機械
・印刷機械
・輸送機械
・土木建設機械
・半導体製造装置
・医療機器

ファイナンスリース

ファイナンスリースは、経済的な実態が売買取引に近いリースです。一般的に中途解約が認められず、リース期間に生じたコスト(修繕費など)を借り手が負担します。

ファイナンスリースは「所有権移転ファイナンスリース」と「所有権移転外ファイナンスリース」の2種類です。

・所有権移転ファイナンスリース:借り手に所有権が移転する取引※
・所有権移転外ファイナンスリース:借り手に所有権が移転しない取引
※「特別仕様のため第三者が利用できない」など、所有権が移転しなくても所有権移転ファイナンスリースに該当する場合があります

所有権が移転するか否かで、減価償却における償却期間の計算方法が異なります。所有権が移転する場合は、通常の売買と同様です。所有権が移転しない場合は、リース期間を基準に計算します。

オペレーティングリースのメリット

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オペレーティングリースの魅力は、ファイナンスリースや購入と比べて手軽なことです。「短期での利用を検討している」「費用や手間を抑えたい」というケースに向いています。費用面や会計処理においてどのようなメリットがあるか確認しておきましょう。

借り換えしやすい

オペレーティングリースで中途解約できる場合、買い替えが容易です。「機材を短期間で入れ替えたい」「最新設備を少しだけ試したい」といったケースに向いているでしょう。

高額な固定資産を購入する場合、手続きの手間や費用がかかります。それらの負担を考えた場合、短期での買い替えを躊躇してしまう方もいるのではないでしょうか。オペレーティングリースの所有者はリース会社のため、面倒な手続きなどは不要です。

費用を抑えられる

オペレーティングリースは、ファイナンスリースよりもリース料を抑えられる傾向にあります。その理由は、リース料を算出する際の仕組みが異なるためです。

ファイナンスリースでは、固定資産の購入代金(総額)を分割払いのように支払います。また、固定資産にかかる各種費用は借り手の負担となるケースが一般的です。

オペレーティングリースのリース料は、リース期間終了時の見積もり価格(残存価額)を基準に計算します。例えば、現在価値500万円、残存価額200万円であれば、差額の300万円をリース料として支払う仕組みです。

仕訳がシンプル

オペレーティングリースは、賃貸借取引と同様の仕訳処理を行います。これは、経済的な実態が売買よりも賃貸借に似ているためです。

ファイナンスリースの会計処理は売買と同様のため、減価償却による節税効果を期待できます。ただし、減価償却費を計算する必要があり、経理担当者の負担が増えます。会計処理の手間を考えると、オペレーティングリースのほうが有利です。

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オペレーティングリースのデメリット

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会計上、オペレーティングリースは「ファイナンスリース以外の取引」と定義されています。定義通りであれば、中途解約や短期での買い替えが可能です。ただし、実務上は定義と一致しないケースが多々あります。オペレーティングリースのデメリットを確認しておきましょう。

リース期間が長期に及ぶケースも

「オペレーティングリース」といっても、対象の固定資産は多岐にわたり、リース会社によって契約内容が異なります。短期で契約できるケースもありますが、一般的な契約期間は6~10年など中長期です。特に、高額な物件は長期化する傾向にあります。「短期で少しだけ試したい」というケースでは、中途解約の可否を必ず確認しておきましょう。

リースの契約期間中である限り、リース料が発生します。契約が長期化するほど費用がかさむ点にご注意ください。

途中解約で違約金が発生することもある

オペレーティングリースの中には、途中で解約できる契約があります。しかし、違約金なしで自由に解約できてしまうと、貸し手が利益を得らえません。解約が認められても、違約金が発生する可能性があります。

オペレーティングリースは、ファイナンスリースや購入と比較して費用を抑えられる点が魅力です。とはいえ、違約金が多く発生すれば、そのメリットが半減してしまいます。他の選択肢と十分に比較した上で契約に進みましょう。

オペレーティングリースの仕訳方法

オペレーティングリースの仕訳は、賃貸借取引と同様です。ここでは、「賃借時」と「中途解約時」の2つのパターンを紹介します。

【賃借時】
以下の条件でリース料を現金払いした場合、借方に「リース料」、貸方に「現金」を計上します。消費税の計上方法については、自社で定めた方法をご確認ください。

・リース料3万円
・消費税率10%(税抜方式)

借方 貸方
リース料 30,000 現金 33,000
仮払消費税 3,000    

 

【中途解約時】
中途解約する場合、本来、支払う予定だったリース料を一括で支払うケースが一般的です。未払い分のリース料を計上する際は、「リース解約損」を使用します。また、未払い分とは別途、違約金が発生する場合もあるでしょう。違約金は「雑損失」として計上します。

・未払い分のリース料3万円
・消費税率10%(税抜方式)
・違約金1万円

借方 貸方
リース解約損 30,000 現金 43,000
仮払消費税 3,000    
雑損失 10,000    
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オペレーティングリースが得策?他の方法との比較

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ファイナンスリース・レンタル・購入など、オペレーティングリース以外の選択肢を検討している方もいるのではないでしょうか。ここでは、オペレーティングリース以外の選択肢のメリット・デメリットを解説します。ご自身に適した選択をするためにぜひ参考にしてください。

ファイナンスリースのメリット・デメリット

ファイナンスリースでは、リース資産を減価償却できます。減価償却とは、固定資産の購入にかかった費用を、一定期間に分けて経費計上することです。計上できる経費が増えれば所得が圧縮され、節税につながります。また、所有権移転ファイナンスリースの場合、所有権が借り手へ移るため、自己資産として取得できる点もメリットです。

ただし、減価償却が必要なため仕訳が複雑化する、オペレーティングリースよりもリース料が割高な傾向があるといったデメリットがあります。

レンタルのメリット・デメリット

レンタルの契約期間は数週間~数ヶ月単位で設定できるケースが多く、中途解約も可能です。リースよりも自由度が高いといえます。

ただし、リースよりも割高な料金がデメリットです。例えば、レンタル料が「基本料金×〇%」と設定されている場合、レンタル期間が短期であるほど割高な傾向にあります。

また、対象の物件によっては選択肢が限られます。リースは、リース会社が借り手のために新たに物件を購入しますが、レンタルは貸し手が所有する物件の中から選択する仕組みです。対象の固定資産や希望の条件によっては、リースのほうが有利になるかもしれません。

購入のメリット・デメリット

購入のメリットには、減価償却費を計上できる点や、固定資産の所有権が自分にあるため権利関係の制限がない点が挙げられます。

ただし、高額な初期費用が必要です。一定期間で少しずつ料金が発生するリースと比べると、キャッシュフローの悪化を招くリスクが高いでしょう。突発的な修繕など、想定外の支出が発生する可能性もあります。

自己で所有することを重視したい場合は購入、安定した資金計画を立てたい場合はリースを選択するなど、自社の状況に適した方法を選択することが大切です。

リース取引をする際の手続きと流れ

リースを検討している場合、全体の流れを把握しておくと取引がスムーズです。審査が必要なことやお金の流れ、納入時の注意点なども併せて確認しておきましょう。ここでは、リースの物件購入から料金の支払いまでの流れを、3つのステップで解説します。

1.物件の決定・申し込み

リース契約の前に、仕様や価格、納期といった詳細を売主(メーカーなど)と打ち合わせします。詳細を決定後、リース会社から提示された見積書に納得した上で手続きを進めましょう。

リース時は、申し込み後に審査を行います。リースは、貸し手から借り手への信頼関係で成り立つ取引であるためです。審査では財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)を提出する可能性があるため、事前に確認しておくとスムーズです。

2.契約締結・物件納品

審査通過後、リース会社とリース契約を締結します。代金の支払いや物件の納期、違約金など不明点があれば契約の締結前に必ずご確認ください。

リース契約の締結後、リース会社が対象の物件を売主へ発注し、リース会社と売主の間で売買契約を締結します。物件の準備が整い次第、借り手が指定した場所へ納品という流れです。後のトラブル防止のため、納品時の検品は慎重に行いましょう。

3.リース開始・代金支払い

リース開始後、リース料が発生します。支払先は売主ではなくリース会社です。支払いのタイミングは契約内容によって異なるため、契約書をご確認ください。

借り手が支払うリース料は、リース会社から売主への支払いに充当されます。リース料の滞納は会社の信用問題になりかねないため、忘れずに支払いましょう。

リースは、中途解約できないケースが珍しくありません。リース期間中の資金繰りに困窮しないよう、資金計画には余裕を持つことが大切です。

税金対策は万全ですか?節税のご相談はネイチャーグループへ

リースは、事業用設備を取得する際の税金対策のひとつとして知られています。リースの中でもオペレーティングリースは「会計処理の手間がかからない」「費用を抑えられる」など、手軽さが魅力です。ただし、リースによる節税効果を最大限に発揮するには、専門知識を要します。法人の税金対策を検討している方は、税理士への相談がベストです。

ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)は、お客さまの状況に適した税金対策の提案を得意とする税理士法人です。税金対策と資産運用を組み合わせるなど、手元にお金を残すための最適な選択肢を検討いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

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オペレーティングリースは賃貸借取引と同様の仕訳処理となるため、事務的な負担を抑えられます。ただし、ファイナンスリースのように減価償却ができず、節税効果は限定的です。手元にお金を残すには、自社の状況に合わせた対策を検討することをおすすめします。

法人の税金対策でお悩みの方は、ネイチャーグループ(税理士法人ネイチャー、株式会社ネイチャーウェルスマネジメント)へご相談ください。法人・個人問わず、税務コンサルティングの経験豊富な税理士が最適な選択肢をご提案いたします。

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芦田ジェームズ 敏之

芦田ジェームズ 敏之

【代表プロフィール】
資産規模100億円を超えるクライアントの案件を数多く抱えてきた異彩を放つ経歴から、「富裕層を熟知した税理士」として多数メディアに取り上げられている。培った知識、経験、技量を活かし、富裕層のみならず幅広いお客様に税金対策・資産運用をご提案している。
また、Mastercard®️最上位クラスで、富裕層を多く抱えるクレジットカードLUXURY CARDの 「ラグジュアリーカード・オフィシャルアンバサダー」に就任。日米税理士ライセンス保有。東京大学EMP・英国国立オックスフォード大学ELP修了。紺綬褒章受章。
現在は代表税理士を務める傍ら、英国国立ウェールズ大学経営大学院に在学中(MBA取得予定)。

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